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ふたりのためのリビング〈2〉
同じ空間にいるふたりがそれぞれ違うことをするには、なにかと気遣いのいるもの。
けれど、奥村さんはその気遣いも、距離と間取りで解決できると言います。
家族間での快適な距離についてアンケート結果を見せてもらいました。


違うことをするふたりに「3mの思いやり」

奥村「この図を見て下さい。これは家の中で家族と過ごすのに、どのくらい距離が快適か不快かを我が社でアンケート調査した結果です」
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奥村「いっしょに同じテレビを観るときは約1.6m、これをくつろぎ系の行為と言っています。こちらの真ん中が働き系の行為です。パソコンとか勉強とか手紙を書くとか、二人でデスクワークするときですね。これは約1.2mぐらいの距離を確保できればいいようです」
――「ダイニングテーブルで対角に座るぐらいの距離ですね」
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奥村「そして、一人はくつろぎたいけど、片方は作業をしたいというときは3.3m。くつろぎ系行為と働き系行為の人が共に過ごすには、最低これだけの距離が必要というわけです」
――「くつろぐって、受け身な行為ですよね。テレビは何も考えずリラックスして観られるけど、eメールや手紙を書いたり、本を読んだりってやはりアタマが動いてなきゃできないことです。もし、自分が働き系の状態――マニュアルを読みながらホームページを作っているとか、資格試験の勉強をしているときとかに、その横で、テレビを観ている人がいたら、それがたとえヘッドホンを使って静かにしてくれていてもなんとなく落ち着きませんね。なんでだろう?視界に入るからなのかな。心の状態の違いを感じてるのかな?」
奥村「心の状態の違いを感じるというのはあると思いますよ。だから私たちも〈くつろぎ系〉と〈働き系〉といって動作や行為を区別していますし」
――「家族だからよけいに感じるのかも。思いやりといっても、毎日毎日では実際しんどいですね」
奥村「というわけで、くつろぎ系のリビングスペースと働き系のダイニングスペースは、最低3.3mの距離をとって間取りを考えます」
――「なるほど。一般的にリビングはおもてなしの場としても使われるし、ダイニングはキッチンといっしょになったプライベートな空間だから奥まったところに作られるし、まあ、そう考えれば3.3mは普通に……」
奥村「そうなんですけど、〈つかず離れず〉なんですよ、このテーマは」
――「ああ、片方が奥に引っ込んではダメなんでした。一人でいる気ままさと、ふたりで過ごす安心感の両立」
奥村「そこで出てくるのが、間取りについてです。居場所を考えるとき、一般的に男性、女性の特性の違いが浮上してきます」
――「間取りの好みが、男性と女性で違うってことでしょうか?ああ、今まで考えたことなかったけど、やっぱりそこにも差があるんですね〜!」
(ワダ)

……次回へ続きます


せやバナー
02/12 11:00 | 奥村一生の空想空間 | CM:0
ふたりのためのリビング〈1〉
映画を観たり、自分の友達を招いておしゃべりしたり、
資格試験の勉強をしたり、趣味の作業に没頭したり……。
家でしたいことはたくさんあるけれど、
いっしょに暮らすパートナーには気を遣うもの。
互いに尊重しあうふたりだからこその思いやりですね。
<つかずはなれず>というあいまいな距離感を、
きちんと科学的な目で整理したら、
限られた面積でもプライベート感の高い間取りができました。



今回の提案は、旭化成ホームズ株式会社奈良支店奈良営業所で設計にたずさわってらっしゃる奥村一生さんです。

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〈奥村一生〉
1977年生まれ、静岡県出身。
関西大学大学院工学研究科建築学専攻を卒業。
2003年、全国社内コンペで新人賞、2005年には優秀賞を受賞。
趣味は旅行。
興味のある近代建築や美術館を訪れて、近くの温泉を楽しむというのが定番。最近印象深かったのは金沢21世紀美術館。
「ガラスで構成された広く開放的な作り、そして作品を観る人の主観にゆだねられるデザインに感銘しました。」



つかずはなれずプランニング

――「今回、ご提案いただいたテーマが〈つかずはなれずプランニング〉とありますが……」
奥村「そうです。そばにいてるけどじゃましない存在であるための空間プランニング、ということですね」
――「なるほど、一人でいるのは淋しいけれど、楽しみにしていた映画やドラマに熱中しているときに横でパタパタ歩かれたり、反対に勉強や仕事をしてるときにテレビを突然つけられると、一人にさせて!って心の中で叫んでるってこと、ありますね」
奥村「例えばご主人はリアルタイムでスポーツ中継を観たいけど、同じ時間帯に奥さんはお友達を招きたい、そんなとき、互いに気兼ねせずリビングやダイニングでいっしょにくつろげたらいいな、と。実際そんなご相談もあります」
――「で、今回は夫婦ふたり家族を想定されての提案なんですね」
奥村「調査によると1980年代は4人家族が主流だったのが、最近は1人とか2人の世帯が増えてきているらしいのです。2010年までに60代夫婦だけの世帯は35万世帯も増加し、反対に50代夫婦と子どもの世帯は70万世帯も減ってしまう、というデータもあります」
――「2人世帯が今後増えるであろうというわけですね。子どもが自立したから、自分の時間を確保して家で過ごす時間を充実させたいと。一人暮らしの自由さと二人で暮らす安らぎの、良い部分だけを叶えられる家なんですね。
んー、でもそれって、どちらかが引っ込む場所、書斎なんかがあれば……」

奥村「いえいえ、引っ込む、ではなくてですね、遠慮とかガマンとか気遣いせずに、自然にそれぞれがいたい場所でしたいことをできる、という日常でないと。家なんですから。それに、多分誰にとってもリビングかダイニングっていちばん居やすい場所でしょう」
――「そうですね〜、いつもいる場所で本を読んだりパソコンしたり、テレビみながら顔のお手入れとかしたいし」
奥村「ということで二人は<つかずはなれず>なんですよ。同じ空間にいながら、お互いを邪魔しない間取りです」
――「そういうことって、思いやりとか我慢とか、心の在りようの問題としか考えてなかったですね。でなければ広〜い家にでも住まなくちゃ解決しないと」
奥村「我が社で、家の中で快適であると感じる距離のアンケート調査を行ったんです」
――「へえ〜、他人と快適に過ごすための距離の話しは聞きますが、家族でというのは初めてです」
(ワダ)

……次回へ続きます


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02/05 11:00 | 奥村一生の空想空間 | CM:1
建築家の仕事〜それは、家の物語の序章を作ること〜〈7〉
リビングに、ちょうどいい和を(2)

リビングをプランニングする際、設計士の児玉さんが配慮したのは、和空間との連続性。
居心地の良い空間にするための、さらなる提案が続きます。


――「ところで、ダイニングキッチンとは仕切られているのですね?」
児玉「はい。リビングはくつろぐ場。ゆったりとした気持ちになって欲しいので、生活感のあるダイニングキッチンとは、一線を画しました」
――「主婦の視点で見ると、それはとてもいいアイデア。食べることが中心になるダイニングスペースは、どんなに整理整頓を心がけていても、どうしても雑然としてしまうんですよ。食べるということは、もちろん生活する上ですごく大切なわけですけれど、お客様が来た時には見られたくない場所なんです」
児玉「ええ。そういう狙いで、壁を作りました。この壁、RC造りなんですよ」
(↓クリックで拡大します)
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――「コンクリートの打ちっ放しって、とても現代的です。でも、古材の梁やお隣の和室との違和感がない。というか、ほどよい感じです。この壁を和テイストにしてしまったら、いかにも!な印象になるんですけど。そういう部分って、もう、建築士さんのセンスなんでしょうね」
児玉「あえて異質のものを持ってきたい、新しいものと古いものの共存する空間を創りたい、と思ったんですよ」
――「ああ、そうなんですか。実際、リビングに置くのは、例えば、テレビやオーディオセットなど、新しさを感じさせるもの。もともと、新旧融合がされている空間なら、最新の家電も違和感なく収まりそうです」
児玉「家族団らんに来客、子どものゲーム遊びやTV鑑賞、とリビングにはいろいろな使い方がありますから、空間自体がなにかひとつの雰囲気に偏るのは避けたいなと思いました」
――「いろいろな考察があって、空間が出来上がっていくのですね」
(↓クリックで拡大します)
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児玉「そうです。それこそ、施主様のライフスタイルから考え方、家へのこだわりまで頭の中でいろいろシミュレーションをして、ひとつのプランを提案させていただきます。今回のように、和空間の演出を設計段階でプランニングすることもあります。それを気に入っていただくのは設計士冥利ですね。
でも、家は暮らす人たちのもの。暮らしていくなかで、深い愛着を持っていただけたら、と思っています」〈了〉
(ミヤ)

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12/18 11:00 | 児玉哲志の空想空間 | CM:0
建築家の仕事〜それは、家の物語の序章を作ること〜〈6〉
リビングに、ちょうどいい和を(1)

家の中心に和室を持ってきて、日常的に和の空間に慣れ親しむこと、様式や格式を飛び越え、あらかじめ演出をすることが和室への苦手意識を取り除くという児玉さん。
家族が過ごすことの多いリビングは、さて、どんな演出を施すのでしょうか?


――「この間取りでは、和室の南隣がリビング。二つの空間を仕切る戸は、格子戸のようなデザインです」
(↓クリックで拡大します)



児玉「はい、襖にすると和に片寄りすぎるので、格子模様の引き戸にしました」
――「ここを閉じれば、それぞれに独立した空間にもなるし、開ければ連続した空間になりますね」
児玉「庭は和室側にあるので、普段は開け放していることの方が多いかと思うんです。その際、戸が浮いた存在にならないよう、どちらの空間にも馴染むようにするというのは、案外重要なことですね。それぞれの空間の中については、いろいろな工夫をしても、意外に戸というのは見落とされることが多いので」
――「ああ、そうですね。隅々にまで気を配らないと、印象を損なうことがあるから注意しないといけないポイントかもしれませんね。うん、この格子戸ならどちらの空間にも違和感がありません」
児玉「ええ。さらに加えて言うと、リビングの天井の梁に使用している古材と同じような色、材質のものを使っています」

(↓クリックで拡大します)

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――「ホントですね!この梁と相性抜群」
児玉「古材というのは、1点ものなので、空間にぴったりのものを選ばなくてはいけないんです。例えば、施主さん側から、この古材を新しい家のどこかに利用して欲しい、とあらかじめオーダーされることもありますし、こちらが設計プランを立てて、ここに古材を使いませんか?と提案することもあります」
――「よく古材を用いた家の紹介をメディアで見る時って、もともと住んでいた家で使われていた、という場合が多いのですが、そればかりじゃないのですね」
児玉「そうですよ。古材が好きで、住む家に使いたいけど、もとの住居が集合住宅という方もいますからね。古材との出会い方は、100件家があれば、100通りある。ホントに千差万別ですよ」
――「これだ!という古材との出会いも、また楽しみのひとつ?」
児玉「はい。完成のイメージと材料がピタッと一致する瞬間は、何とも言えません」
――「家の一部に使われる材料ひとつにも、物語がある。そう考えると、家づくりってすごくロマンチックですね」
(ミヤ)

……次回へ続きます


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12/11 11:00 | 児玉哲志の空想空間 | CM:0
建築家の仕事〜それは、家の物語の序章を作ること〜〈5〉
あらかじめ演出された和室とは?(2)

床の間を大胆に演出し、従来の和室の重々しさを軽減した児玉さん提案の和空間。
他にも、なるほど!とお手本にしたいアイデアがいっぱいです。


児玉「このガラスブロックで作られた床の間には、もうひとつの演出効果があるんです」
――「家にいながらにして、光を感じられる、以外にですか?」
児玉「ええ、それは屋内の話。屋外も演出するんです。ガラスブロックの両サイドに照明が付いてますよね。これを点けて、ガラスブロックに灯りを当てると、外からぼんやり浮き上がったような感じになるんです」
――「つまり、外から見た人にも楽しんでもらえる、ということ?」
児玉「そうです。住んでいる人以外の方にも視覚的な楽しみをもたらすというわけです」
――「ああ、それはいいですね。柔らかい光が洩れてくる家ってそれだけで幸せそう。見ず知らずの人が住む家でも、通りがかるたびに、幸せな気持ちになれるような気がします。
ところで、この設計プランのイラストを見ると、畳が正方形。これって、琉球畳ですよね?」

(↓クリックで拡大します)



児玉「はい。正方形の畳を配すことで、空間の連続性を出したいなと考えました。実は、琉球畳って強度が強いんですが、非常に稀少で、価格も高いんですよ」
――「そうですよね。沖縄産のい草で作られているとか。以前、訪れた老舗の宿で使われていたのですが、ズシッと足に密着するような踏み心地で。すごく気持ちよかったのが印象に残っていて、いつか家を建てるなら、和室は琉球畳にしたいと思っていたんです。でも、高いとなると…」
児玉「今まで担当した施主様の中にも、価格を聞いて諦めたという方がいらっしゃいました」
――「やっぱり…」
児玉「琉球畳に限らず、畳の良さって、もっと見直されてもいいんじゃないかと僕は常々考えています。表換えができるので、清潔も保たれる。畳独特の青々とした匂いも五感を刺激します。自然との共生を暮らしの中で感じられると思うんです。



床の間の光の話もそうですが、日常生活の中で、自然を当たり前のように取り入れる。和室では、それがすんなりとできるのではないでしょうか」
(ミヤ)

……次回へ続きます


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12/04 11:00 | 児玉哲志の空想空間 | CM:0
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