プライベートを保ちながらコミュニケーションを取り持つ、そんな二世帯住宅の間取りが見えてきました。
そのポイントとなる中庭は、本来、暑さ寒さを和らげる『涼温房』構造のためのもの。
迷いの解決策を思いがけない視点から提案され、いっそう頼もしさを感じました。二世帯住宅にも無理なくワークスペース。――「二世帯住宅で両親の仕事部屋まで作って、駐車スペースも2台分。依頼は全部クリアされてるようですが、ただ、収納スペースが気になります。世帯が増えると物も多くなります」森濱「ご両親さまは仕事柄、美術書や旅の思い出の品々が多いのでしたよね。1階の間取り図とスケッチを見て下さい。リビングの壁面を全面収納にしました。資料探しなど、本をたくさん広げることもあるかと思います。そういうとき、アトリエとつながるリビングも利用すれば便利でしょう」
――「8畳ぐらいの部屋の壁一面が天井まで使えるということは、かなり収納できそうですね」森濱「仕事部屋にも作りますし」
――「仕事部屋とリビングってドア一つ隔たってるだけで、すぐ隣なんですね。ワークスペースが5畳というのはちょっと狭いなと思っていたのですが、そんなにずっとリビングを使ってるわけじゃないからここも利用すればいいのですね。キッチンに近いのも奥様にとってはなにかと便利そう。ああ、だから仕事部屋とキッチン、ダイニング、リビングが隣接してるんですね」森濱「物音が気になるならドアを閉めればすみます。リビングで資料を広げているときに来客があれば、奥の和室にお通しすればいいのです」
――「そして寝室は全然見えない……すごい!すべてうまく行きそう」森濱「話しを戻して収納ですが、ここの土地を見てみたら傾斜があることがわかりました。この地形を利用して半地下の駐車スペースを作り、そこに設けるのも一つの手です。息子さん夫婦もこれから先、子どもができればなにかと物は増えてゆくはず。二世帯ですからそれなりの収納スペースを考えておいたほうがいいかもしれませんね」
――「それを聞いて安心。二世帯とワークスペースという2つの大きな問題に、期待以上の答えをいただきました」森濱「親世帯と子世帯、個と公、オンとオフ、ひとつずつ整理してきちんと分けながら、つなげた方がいいところはそうできるようにしておいて、全体をまとめる。家族の気持ちが静かに通じ合う、そんな間取りになればいいですね」〈了〉
(ワダ)