底面と壁を断熱材で一体化した魔法瓶のような構造の家。
地面の湿気を遮断した低コストの床暖房で冬は家中どこでも暖か、
夏は中庭と吹き抜け天井に作ったトップライトで涼しく。
1年中開放的で快適な家ができそうです。奈良の美しい山々を眺めるワイドビュー――「間取り断面図を見ると、1階のリビングは吹き抜けで2階とつながっているわけですね」中辻「そうです、その話しの前に、どんな2階か説明しましょう」
――「なにか仕掛けがあるんですか?」中辻「まあちょっと。この外観図を見て下さい。1階壁面は外からの視線をさえぎる必要があるので窓は小さく、反対に2階はこんな広いガラスが入ってるでしょう。これ、窓でなく壁です。もちろん、外から中の様子は見えないガラスを使います」
――「じゃあ、2階に上がればパノラマビュー……!」中辻「1階は中庭を中心に家中をぐるりと見渡せ、かつ、リビングの吹き抜け天井で上への広がりをもたらします。2階は広いガラス壁で外界に対して水平の開放感を楽しめるようにしました。もし高台で立地がよければ、奈良の美しい景色を眺められるでしょうね」
――「しかも2階の光は1階にも降り注いで。天井が高いからほどほどに明るくやわらかなんでしょうね。リビングのイメージが湧いてきました」家族が集うオープンプランニング
――「1階は間仕切りなしのオープンプランニング、そして2階吹き抜けでつながって……だから底も壁も一体化した魔法瓶構造の家なんですね。開放的でも寒くないのはいいのですが、誰か急に来たとき丸見えにならないですか?」中辻「1階の間取り図見て下さい。玄関ホールに立ったとします。いくらオープンでもトイレとサニタリーは壁で囲うでしょう。仕事部屋もある程度は仕切りますよね。となると、中庭を通して見えるのはダイニングとリビングぐらいですよ。庭にグリーンを繁らせば、そっちに先に目がいくでしょうしね」
――「中庭っていろんな効果があるんですね」中辻「直接見えなくても空間はつなげておく、たとえば玄関からそのまま2階に上がっても1階で気配は察知できるはずです。
――「子どもが外から帰ってきて、だまって2階にあがるようなことがあってもゼッタイ分かる……」中辻「開放的なオープンプランニングは、ただ広さを感じられるということだけでなく、家族の絆にもなにかしらの影響はあると思います」
――「家族それぞれが自室にこもりっきりで会話がないとか、成績の良い子はリビングで勉強してたなんて話も聞きますしね」中辻「具体的な影響は家庭によって違うでしょうし、そこまで言及できませんが、少なくとも言えるのは人生全体から見ると、親子いっしょに暮らせる時間は決して長くはありません。共に過ごす一日一日がより豊かに感じられる環境を提案できたらいいですね」〈了〉
(ワダ)