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建築家の仕事〜それは、家の物語の序章を作ること〜〈4〉
あらかじめ演出された和室とは?(1)


普段から慣れ親しむことが、和室をカジュアルに使いこなせる秘訣と語る児玉さん。
お客様を迎える空間というオフィシャルな使い方だけではなく、家族のプライベートな空間としての演出を具体的にお話ししてくれました。



――「家の中心部分に和室を置いたら、使い方も変わると思います。でも、そのためには、ビジュアル的にも他の空間と調和しなくちゃいけないんじゃないかなと心配です」
児玉「ええ、わかりますよ。いわゆる、ごく平均的な床の間や欄間がある和室を想像すると違和感があると思います」
――「なんか、和室の厳かな雰囲気に引っぱられて、リビングも重厚感を出さなきゃと考えそうです」
児玉「その心配は無用です。まず、こちらの和室のイメージ図を見ていただきましょう」
(↓クリックで拡大します)



――「あっ、これは!床の間があって、畳があって。確かに和室だけど、和室とは言い切れないような、でも、洋室でもないし。やぱり和室ですね〜」
児玉「そうでしょう。二間分すべてを床の間にしましたが、違い棚や書院を設置せず、すっきりと見せるようにしています。一番のポイントは、なんといっても、壁面にガラスブロックを持ってきたことですね」
――「すごくモダンですよね。外からの光を楽しめるというのがうれしいです」
児玉「朝の光、昼の光、夕方の光と、日々の暮らしの中で、刻一刻と変化する光を楽しめますよ。
今の時代、便利になりすぎて、時間や季節、天気の変化を目や肌で感知することって少ないでしょう。普段の生活空間で、それらを感じられたらいいなと考えました」
――「それは、ステキなことですよね。私たちの情報の取り方って、メディアによるものが多いなと感じます。それも、年々スピードが速くなってきてるし、情報量も膨大になってきて、自分自身が感じていないのに、時間や季節だけは変わっていってるような感覚とのギャップも。
でも、朝と夕方の光が違うとか、今日は光がぼんやりしれるから雲が多いのかなとか、そういう微細な変化への勘は鈍ってきている」

児玉「毎日暮らす家で、そういう小さな変化を楽しめるのって、些細だけど、大切。平凡だけど、日々の暮らしへの愛おしさが増すし、家への愛着も深まると思うんです」
(ミヤ)

……次回へ続きます


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11/26 19:09 | 児玉哲志の空想空間 | CM:0
建築家の仕事〜それは、家の物語の序章を作ること〜〈3〉
あえて、家の真ん中に、和空間を

和室の使い方が苦手な人が多くなっている現在。
和の空間を家から取り去ってしまうのではなく、設計段階である程度の演出を施した和空間を作ればいい、と話す児玉さん。
そこには、他の部屋と和室との間に違和感を感じさせない工夫がありました。


児玉「和室って、お客様を迎え入れる空間という捉え方をすることが多いのですが、もっとカジュアルに使って欲しいなと思うんですよ」
――「カジュアルに、って?」
児玉「普段の暮らしに溶け込んだ使い方、とでも言いましょう。例えば、この図を見てください。
(↓クリックで拡大します)



1階を俯瞰でとらえたものなんですが、ウッドデッキを付けた庭、庭に面した空間を和室にしました。さらに、その南側にリビング、東にダイニングを配しました」
――「ちょっと、あんまり見かけないような間取り図ですね。一般的に、和室は、この図で言えば、ダイニングあたりに配されそうな気がします」
児玉「そうなんです。どうしても、和室は隅に追いやられる傾向があるんですね。苦手だから、使いづらいから、隅に置く。そんなことをしていたら、カジュアルに使いこなす機会も失われていってしまいます」
――「それで、あえて、家の真ん中に持ってきた、というわけですね?」
児玉「はい。リビングから和室、ウッドデッキ、さらに庭までを、いわば、ひとつの空間ととらえてもらったら、と考えました」
――「ひとつの空間、ですか?」
児玉「例えば、家族が集まって話をしたり、TVを見るのはリビングで。その横にある和室では、ゴロンと横になってリラックスしたり、読書にふけったり。外で過ごすのが楽しい季節には、ウッドデッキに出てみたり。さまざまな個性のリビングスペースが集まっている、という感じですね」
――「確かに、リビングと和室、ウッドデッきそれぞれの空間を遮るための戸を閉めずに、開け放しておけば、大きなリビングのようです」
児玉「そうでしょう。さらに庭を眺める場合、和室を通して見る、ということが必須になるんです」
――「この間取りだと、和室は普段の生活で、どうしても目に入ってしまう空間だから、使い方を考えるし、どんな空間にしようか、と思いを巡らすことにもなりますね」
児玉「そうでしょう。そういうところから、愛着って湧いてくるし、空間へのこだわりが生まれてくると思うんですよ」
(ミヤ)

……次回へ続きます


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11/20 11:43 | 児玉哲志の空想空間 | CM:0 | TB:0
建築家の仕事〜それは、家の物語の序章を作ること〜〈2〉
和の雰囲気を設計段階で演出

新しいものならすべて良し!ではなく、新しいものと古いものを融合させた空間に強く惹かれる、と話す児玉さん。
とってつけたような和空間ではなく、“自然になじむような空間”というコンセプトが浮かび上がってきました。




児玉「自分の家を建てよう!というお客様と打ち合わせをしたり、いろいろな方の住まいに対する考えを聞いたりしていると、和空間をうまく使いこなせていないなぁと思うことがしばしばあるんです」
――「そうですね。和空間って、なんとなく、難しそうなイメージ。例えば、和室なら、床の間ってどうしたらいいの?とか、畳の管理って面倒とか。玄関にちょっと和の要素を取り入れたいなぁと和雑貨などを置いても、もともとの家の造りが洋風になっているから、そこだけ妙に浮いちゃったり」
児玉「和の雰囲気が好きで、すごくこだわりがある方と、和要素なんて家に不要という方と。この頃のお客様は、両極端な傾向にありますよ」
――「和の要素が全く要らないというわけではないと思うんです。例えば、京都や奈良などの古い町並は、ほとんどの人が好きですし、日本建築の宿に泊まれば、いいなぁと感激する。でも、それを自分の日常に取り入れるとなると、どうしたらいいんだろう?とてもじゃないけど、あんなに立派に使いこなせないなという結論に至るんじゃないでしょうか」
児玉「あぁ、それはあるかもしれませんね。だから、建築家は、その辺のことを慮って、ある程度の演出を含めた設計をしないといけないなと思ってます。リビングとダイニングがあって、その横を和室にしました、和室だから畳です、床の間はこんな感じにしておけば、掛け軸を飾っても、将来的にはお仏壇を置いてもいいです、というような空間では、暮らす人たちもイメージが湧かない。
ついでに和室がある、というのではなく、家全体と調和しているのがいいんです。そうすれば、日常的にも使いやすいし、愛着も湧いていくんじゃないかと思いますね」
(ミヤ)

……次回へ続きます


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11/13 11:43 | 児玉哲志の空想空間 | CM:0 | TB:0
建築家の仕事〜それは、家の物語の序章を作ること〜〈1〉
家づくり、そして、建築家が大きくクローズアップされることも多い昨今。
さまざまなメディアで紹介される機会が増えてきたために、建築家は、私たちにとって、身近な存在になってきました。
反面、そこに暮らす家族が主役のはずが、建築家の考えたコンセプトありきになっていて、住む人の表情が見えないような家も。
三洋ホームズの児玉哲志さんは、家づくりについて、どんな思いを抱いているのでしょうか?


現在、三洋ホームズ株式会社 大阪支店阪奈営業所 設計課に在職中の一級建築士・児玉哲志さんは、建築の仕事に携わるようになって13年。
以前は、公共施設やマンションの設計などを行っていましたが、今の会社に入ってからは個人の住宅を手がけることが多くなりました。
最近は、家づくりについての情報が氾濫しているため、設計やインテリアについてのオーダーも細かくなってきているそうですが、
「理想と現実のギャップを上手に付けるようにするのも、私たちの仕事。いろんな角度から、家づくりを考えてもらえるように、プランを提案していきます」
と話します。



家族にとって、はじめてのマイホームという30代やお子様が独立した50代夫婦など、児玉さんが担当した家族の形やオーダーは、多種多様。
たくさんの家族の家づくりに関わって、
「家は、そこに住む家族が長い時間をかけて、創り上げていくもの。そのスタート部分のストーリーを書くのが、建築という仕事」
という考えに至ったとか。
プランニング期間は、現在のライフスタイルから将来像まで細かくヒアリング。
「施主様と共同する作業でもあり、建築の仕事をしているプロとして誘導しなくてはいけない部分もあります。そのあたりのバランスも取りながら、仕事を進めるのが大事ですね」
と語ります。
時には、土地や予算など条件が厳しい場合もありますが、
「そこのところをどう上手に料理するか?も腕の見せ所。ちょっと冒険したプランを、施主様が面白がってくれるかどうかも、やりがいのひとつですよ」
と頼もしい限りです。

もともと、古いものに惹かれる傾向にあるという児玉さん。
「新しいものなら何でもいい、という感覚はありません。例えば、古い木造とRCの堅牢な造りが共存したら、面白いかなと考えたり。古くて良いものを使って、今の空気にはまる家を造れたらいいかもしれませんね」
(ミヤ)

……次回へ続きます


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11/06 11:00 | 児玉哲志の空想空間
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