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宿泊ゲストも歓迎の二世帯住宅〈2〉
家を建てた当初は来客でにぎやかだったけど、やがて二世帯を理由に遠のいてゆくようになっては淋しいもの。
家族もゲストも気兼ねせず、楽しく快適にすごせるよう、開放感とプライベート性を両立した間取りのお話を伺います。


二世帯とゲスト、3つの立場を考えた間取り。
――「二世帯同居でお泊まりゲストのおもてなしも快適に、という依頼でした。限られた面積で人の動きや居場所が混乱しないようにするためには、なにから考えればよいのか見当もつかず……」
中根「そうですね。考えるべき大きなポイントは2つあると思います。主婦が2人ということとゲストの動線。まず、2人の主婦が同時に家事をできるよう、居場所から考えてみましょう。子世帯のゲストが滞在している間、お姑さんが自室に引っ込まざるを得ない、なんてことは避けたいですよね。かといっていっしょにキッチンに立つのは実際、気を遣うことではないでしょうか。
 ダイニングキッチンに一段高くなった畳敷きのスペース――家事室を設けました。アイロンがけとか、料理とは別の家事をするための場所です」
――「なるほど〜。居場所って大事ですものね。さり気なく空間を共有できるのがいい。しかも出しゃばることもなく。気配りと開放感が自然ですね」
中根「でしょう?そして次は動線について。親世帯、子世帯が互いに気兼ねせず自分のゲストをもてなすには、家族のプライベート空間を一切見せないようゲスト動線を考えます」
――「それがいちばん難しそう。自分たちなりに間取りを考えてみたのですが、ごちゃごちゃになりました」

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中根「ゲストはまず応接間を兼ねたリビングルームにお通しするでしょうから、ここから考えてみます。
 間取り図を見て下さい。玄関を上がってすぐ左がリビング、その奥には2階へつながる階段とダイニングキッチンにつながる通路があります。リビングとダイニングは隣り合わせですが壁で仕切っているのでおもてなしの舞台裏が見えません。けれどドアで仕切らず通路で隔てているので、双方の空気感は伝わります」
――「独立感の高い応接間と、開放感のある現代的なリビングダイニングの、いいところを融合させたって形ですね」
中根「そして2階のゲストルームへはこの階段を上がってすぐ。洗面やトイレへも間取り図のように、プライベート空間を通らず行けるようになっています」
――「あ!ホント、すごい。このリビング、ゲストルームとほぼ直結ですね。家人の寝室の前すら通らない。キッチンも、ダイニングで食事をするとき以外は全然見えないですね」
(ワダ)

……次回へ続きます


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04/24 11:00 | 中根理の空想住宅 | CM:0 | TB:0
宿泊ゲストも歓迎の二世帯住宅〈1〉
二つの家族が一つ屋根の下に暮らすと、お付き合いも2倍。
異なる世代や未知の職種の事情に、ちょっと詳しくなれたりします。
今回の二世帯住宅は、親世帯、子世帯とも気兼ねせず、
自分のゲストを存分におもてなしできる家について考えます。


今回お願いしたのは、大和ハウス工業(株)奈良支店の住宅設計課ハウジングデザイナーの中根理さん。
施主の要望と設計士の提案を取り持ちながら、住宅のプロとしてベストな家を企画し、コーディネートするお仕事です。
20年先、30年先の家族のあり方まで見通した提案はとてもリアルで、どれをとっても「そうなんだ!」と気付かされることばかり。

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近畿大学で造形デザインを専攻。入社後数年間は大和ハウスが手掛けた住宅の巡回点検、リフォーム工事を担当し現職に。入居年数を経た施主の生の声を、一軒一軒聞き歩いた経験を生かし、既製の形や在り方にこだわらず、住む人のライフスタイルに合った提案をプランニングのモットーにしている。2006年、大和ハウスの全国住宅系設計コンペで最優秀賞を受賞。

――「今回依頼のご家族は、このような構成です。ご両親と息子さん夫婦のコミュニケーションがいいらしく、キッチンや水回り、リビングは共有にしたいというご希望です」
夫(61歳)パート勤務、妻(57歳)会社勤務、長男(33歳)高校教諭、嫁(31歳)専業主婦、孫(2歳)
中根「共有部分が多ければ、一つひとつのスペースをゆったり取れますね」
――「ところがひとつ、大きな要望がありまして。親戚やお友達に気軽に泊まっていってといえるゲストルームが欲しいとおっしゃってます」
中根「それはいいですね。ゲストルームを用意していると、お付き合いも広がるでしょう」
――「……なのですが、お泊まりゲストは歓迎だけど実際具合的な場面を想像すると、やはり気兼ねすることがいろいろ出てきます」
中根「でしょうね。共通のお知り合いならともかく、親御さん、または息子さん夫婦、どちらか一方だけのお付き合いの方がいらっしゃったとき、ぎくしゃくしそうですね」
――「そうです。お嫁さんだって自分の姉弟姉妹、仲の良い従姉妹とか友人を呼びたい。ご両親がどうぞいいですよ、といっても、たとえばリビングでみんないっしょに過ごすのはちょっと気を使う……」
中根「微妙ですね」
――「反対に親御さんの方のゲストがいらした場合、リビング、ダイニング、キッチンがワンフロアになって動きが丸見えでは、お嫁さんは気が休まらない」
中根「なるほど。お風呂や洗面も一つなら、二世帯とゲストが共有することになりますしね」
――「そうです、そうです。お泊まりゲストのときは一番気を使う場所です。汚れ物があったり、すぐ物がごちゃごちゃになるし」
中根「親子でも見せたくない部分ってありますものね。人が集いやすくて住みやすい二世帯住宅を考えましょう」
――「よろしくお願いします」

二世帯同居で水回りはひとつ、親戚、知人の出入りがたくさんあって……よく考えてみたらこれって昔の日本の住まい方です。
プライベートがない、世代間の感覚格差という理由でかつては敬遠されていた住まいの形が、核家族が当たり前になった現代、もう一度見直されています。
プライベートを尊重しつつ、家族それぞれの付き合いを持ち込める家、それは子どものコミュニケーション教育という点だけでなく、大人の社会的好奇心も刺激する環境となるでしょう。
次回から中根さんのプレゼンテーションを伺います。
(ワダ)

……次回へ続きます


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04/17 11:00 | 中根理の空想住宅 | CM:0 | TB:0
コミュニケーションを育む二世帯住宅〈4〉
プライベートを保ちながらコミュニケーションを取り持つ、そんな二世帯住宅の間取りが見えてきました。
そのポイントとなる中庭は、本来、暑さ寒さを和らげる『涼温房』構造のためのもの。
迷いの解決策を思いがけない視点から提案され、いっそう頼もしさを感じました。


二世帯住宅にも無理なくワークスペース。
――「二世帯住宅で両親の仕事部屋まで作って、駐車スペースも2台分。依頼は全部クリアされてるようですが、ただ、収納スペースが気になります。世帯が増えると物も多くなります」
森濱「ご両親さまは仕事柄、美術書や旅の思い出の品々が多いのでしたよね。1階の間取り図とスケッチを見て下さい。リビングの壁面を全面収納にしました。資料探しなど、本をたくさん広げることもあるかと思います。そういうとき、アトリエとつながるリビングも利用すれば便利でしょう」

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――「8畳ぐらいの部屋の壁一面が天井まで使えるということは、かなり収納できそうですね」
森濱「仕事部屋にも作りますし」
――「仕事部屋とリビングってドア一つ隔たってるだけで、すぐ隣なんですね。ワークスペースが5畳というのはちょっと狭いなと思っていたのですが、そんなにずっとリビングを使ってるわけじゃないからここも利用すればいいのですね。キッチンに近いのも奥様にとってはなにかと便利そう。ああ、だから仕事部屋とキッチン、ダイニング、リビングが隣接してるんですね」
森濱「物音が気になるならドアを閉めればすみます。リビングで資料を広げているときに来客があれば、奥の和室にお通しすればいいのです」
――「そして寝室は全然見えない……すごい!すべてうまく行きそう」
森濱「話しを戻して収納ですが、ここの土地を見てみたら傾斜があることがわかりました。この地形を利用して半地下の駐車スペースを作り、そこに設けるのも一つの手です。息子さん夫婦もこれから先、子どもができればなにかと物は増えてゆくはず。二世帯ですからそれなりの収納スペースを考えておいたほうがいいかもしれませんね」

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――「それを聞いて安心。二世帯とワークスペースという2つの大きな問題に、期待以上の答えをいただきました」
森濱「親世帯と子世帯、個と公、オンとオフ、ひとつずつ整理してきちんと分けながら、つなげた方がいいところはそうできるようにしておいて、全体をまとめる。家族の気持ちが静かに通じ合う、そんな間取りになればいいですね」〈了〉
(ワダ)

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04/10 11:00 | 森濱秀人の空想住宅 | CM:0 | TB:0
コミュニケーションを育む二世帯住宅〈3〉
親世帯と子世帯とのコミュニケーションにはまだまだ距離がある――そんな関係だからこそ、玄関と中庭が共有になった上下分離型を提案。
中庭は、1階に住む両親と2階で暮らすお嫁さんとの間を取り持つ効果と、家の中を快適に保つ仕掛けがあるのだそうです。


庭の様子が共通の話題に。
森濱「庭作りは住む人の好みですが、例えばこの家なら、藤棚を作って下にテラスを設けたり、外庭には桜など広葉樹を植えるのをおすすめしますね。そしてそれらが2階からも様子がよく見えるようにしておくのです」
――「花が咲いたり、葉っぱが色づいたり、四季の変化が間を取り持つということですか」
森濱「そうです。きれいな花が咲くと誰だって気持ちが華やぐし、春の新緑、夏の青葉、秋には紅葉と、樹木の変化も風情あるものですよね。自然と家族の話題になってゆくのではないでしょうか」
――「世代を超えた共通の話題ですね」

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風を起こして涼を取り込み、熱を蓄えて暖を保つ「涼温房」。
森濱「それともう一つ。アトリエも収納スペースも必要という制約がありながら、わざわざ中庭を設けたもう一つの理由は、『涼温房』効果をもたらすためです」
――「『涼温房』?」
森濱「そうです。住友林業では強制的な冷暖房になるべく頼らず自然の恵みを利用して、夏に涼しさを、冬には温かさを作りだす住まい造りを研究しています。暑さも寒さも解消するのではなく、『和らげる』という発想で対処する暮らし方です」
――「日本の伝統的な木造家屋がそうですね」
森濱「そのため設計時には現地で空気の流れを観察し、気象データを分析します。また、庭造りも涼温房効果の重要な要素で、先に述べた藤棚もそうですし、落葉樹をよくおすすめするのも夏は自然の遮光効果をもたらし、冬には葉が落ちて日差しを室内に取り入れられるという理由からです」
――「なるほど〜、プロの方が進められるものには、やはり理由がきちんとあるのですね。ところで開放感という点でちょっと気になったのが、中庭を囲うこの2部屋ですが……」
森濱「1階のリビングを挟んだ和室と寝室ですね。ここも涼と日差しを取り込めるようにします」
――「そう、中庭が見えるということは、和室と寝室がお互い丸見えになるのかなぁと。この和室は客間としても使えるようにとのことでしたよね」
森濱「リビングは中庭と一体化するような開放感を重視しますが、この2室は独立感のあるように作りますよ」
――「う〜ん、せっかく中庭が見えるのに、それもなんだかもったいない」
森濱「いえいえ、窓に高低差をつけるのですよ。そうすればお互い視線が交わることなく庭の風を楽しめます」
(ワダ)

……次回へ続きます


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04/03 11:00 | 森濱秀人の空想住宅 | CM:0 | TB:0
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