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二世帯住宅を建てる場合、親世帯と子世帯、二つの世帯から
意見がでるのですから、懸案事項は多岐に広がりがります。 迷って意見がまとまらないときは、 たくさんの事例を見ているプロのアドバイスを聞いてみましょう。 吹き抜けの玄関と中庭でつなぐ、上下分離型。 ――「親御さん夫婦は大阪、息子さん夫婦は結婚以来、東京で暮らしていたところ、息子さんが大阪に転勤になり、奈良に二世帯住宅を建てることになったそうです。ところが二世帯住宅という意見は一致したものの、完全に分けてしまう建て方がいいのか、ある程度共有スペースがあったほうがいいのか、もう最初から迷ってらっしゃいます」 森濱「親御さんの方がご夫婦とも自宅に仕事場をもたれていることもあって、気を使ってらっしゃるそうですね」 ――「二軒続きみたいな、縦割りにしたいとおっしゃってます。けど、息子さんは子どもが出来たら簡単に行き来させられるようにしたいし、それに15年、20年先を考えると、もしかしたら介護の問題も出てくるかもしれないと……」 森濱「そうですね。それは大切なポイントですよ。でしたらなおさら将来の心配の前に、今のコミュニケーションを考えておくことも大切と思います。ご両親様と若奥様はこれまでお付き合いが少なかったわけでしょう。そのような場合、私は上下分離型の設計をおすすめしています。ご両親様が家で仕事をされ、若奥様は関西に引っ越してきたらとりあえずは専業主婦ということなので、いっしょに過ごす時間も長い。お互いなにかと気遣うことも多くなるでしょう。ですので水回り、LDKも含め、生活空間は完全に分けておきます」 ![]() ――「玄関だけが共有なんですね」 森濱「そうです。玄関ホールを共有スペースにし、吹き抜けの構造でお互いの気配が分かるようにします。呼べばすぐに応えられるので安心できますよね」 ――「間取り図を観ると、1階が親世帯で2階が子世帯ということですね」 森濱「間取りは上下階とも基本的に同じですが、1階はご両親の仕事場があるので、LDKのスペースが少し狭くなっています。その分、あえて中庭を設けました。リビングとつながるガーデンスペースです」 ――「リビングの狭さを庭で補うということですね」 森濱「それだけではありません。この中庭が、1階のご両親様と2階の若奥様の仲を取り持つ橋渡し的な役目をします」 ――「う〜ん、どう取り持つんでしょう?」 (ワダ) ……次回へ続きます ![]() 暮らし方の違う二つの家族が、一つ屋根の下に暮らす。
相手を想うからこそ、そこにはちょっと工夫が必要です。 ゆっくりと、じっくりと、時間をかけてお互いを分かり合う。 異なる世代を優しくつなぐ、そんな二世帯住宅の相談です。 今回、二世帯住宅のテーマでお願いしたのは、住友林業(株)住宅本部奈良支店 設計グループの一級建築士・森濱秀人さん。 打ち合わせの間中、その内容を次々とスケッチに起こされます。 手が止まっている時間の方が短かったかもしれません。 思っていることが目の前で描かれる様は、まるで魔法のようです。 ![]() 1956年長崎県生まれ、九州産業大学工学部建築学科卒業。九州、山口エリアで19年間活躍され、奈良支店に着任。5年目を迎えられます。貴重な休日はもっぱら神社仏閣めぐりで過ごすのだそう。創建当時の壮麗な様子に想いを馳せるひとときが楽しく、古の技術やデザインから大いに刺激を受けることもあるそうです。設計のモットーは「気持ちいい家造り」。敬愛する建築家は村野藤吾。 ――「今回の依頼家族ですが、このような構成です」 夫(60歳)イラストレーター、妻(53歳)装丁家、長男(30歳)出版社勤務、嫁(27歳)出版社勤務 森濱「なるほど。今は親御さんと息子さん夫婦は別に暮らしているのですね」 ――「そうです。ご両親夫婦は大阪市内に、長男夫婦は東京に住んでいますが最近、長男さんの大阪転勤が決まり、これを機会に2世帯住宅を建てて同居することに決めたそうです。長男夫婦はそろそろ子どもが欲しいと考えているので、両親の近くに暮らせて自然環境の良い、しかも大阪市内への通勤にも便利なイーストヒルズ勢野で2世帯住宅を建てようかと言っています」 森濱「お嫁さんは大阪の方ですか?」 ――「いえ、東京の方だそうです。東京で知り合って結婚されたと」 森濱「じゃあご両親さんとはあまり深くお付き合いできていないですね」 ――「そうらしいです。お互い歩み寄る気持ちはあるけれど、言葉も違うしノリというか生活の呼吸も違う。そんなことを気にしつつも、前向きにコミュニケーションを図っていこうと……」 森濱「分かります、分かります」 ――「それで、親御さんのほうの希望ですが、まず、仕事場であるアトリエが必要です。そして仕事柄来客が多く、旅行も多い。長男夫婦とは暮らしのペースが合わないだろうという配慮から、基本的に日々の生活は別にしたい。とはいっても、お互い顔を合わせられる共有スペースは欲しい、と」 森濱「お嫁さんは仕事はどうされるんですか」 ――「関西に来るのを機に、退職するそうです。しばらくは奈良の暮らしを楽しみながら、土地勘もつけていこうと」 森濱「じゃあ、長男さんが出勤されているときは、お嫁さんは親御さんといっしょにいる時間が長くなりますね」 ――「そうですねぇ、どうなるんでしょうかねぇ……」 縦分割型、上下分割型、LDK共有型など、2世帯住宅のスタイルもさまざま。 自分たちにはどんな形が合うか、それは暮らしてみないと分からないというのが現実ではないでしょうか。 しかしプロはたくさんの事例を見てきています。 経験による豊富な情報の中からさまざまな考え方を提案してくれます。 次回から森濱さんのプレゼンテーションを伺いましょう。 (ワダ) ……次回へ続きます ![]() ショールームのようなガレージスペース、オープンカフェみたいなダイニング、見せたくないものは隠して、けれど開放感も損なわない間仕切り扉。
1階ではおもてなしをテーマに素敵なアイデアを提案して下った設計士の一ッ矢さん。 2階も、そして外観も、わくわくするような仕掛けが工夫されています。 回転扉で隠れ家? ―――「2階の間取りはどうなっていますか?」 一ッ矢「寝室とウォークインクローゼット、将来お子さんができたときのための子ども部屋――ここには可動式の収納棚を設置しています。これを間仕切りにして2つに分けることもできるんです。それと、もう一つのご趣味である音楽の部屋。防音壁にすれば、演奏もステレオの音も気になりませんよ」 ―――「楽器の練習って、ついつい夜中に熱中しがちなんですよね。……で、ちょっと気になってたのですけど、ウォークインクローゼットの奥に『Library』って……しかも、この扉は回転式?」 一ッ矢「まあ、男の隠れ家ってところですね。机と収納棚だけの」 ―――「あら、防音ルームもあるし、隠れなくてもいいのでは?」 一ッ矢「あはは、まあまあ、これもちょっとした遊びですよ。この回転扉、クローゼット側は鏡なんです。扉とはわからない」 ―――「へえ、なんかドラマっぽい。それにクローゼットの奥というのが、またなんかヒミツめいてて。そうですねぇ、子どもの頃はお納戸の中とか押し入れにこんな感覚の空間を作って遊んでました」 一ッ矢「気持ちはそんなところです。もちろん、奥様のスペースであってもいいんですよ」 白いキューブ型の外観。 ―――「1階、2階ともとってもカッコいい間取りですね。外観はどんな感じですか?」 一ッ矢「バイクがインテリアという大胆な間取りですから、外観もそれに合わせてクールに決めたいと思い……私のイメージは断然、白い箱型。ほんのり光沢のきいた正方形のタイルを全面に使います。敷地を境界する塀も同じ素材。シンプルで直線的なデザインはきっと目をひくと思いますよ。素材の質感もいいので、都会的なモダンさと住宅街に調和する温もりを満たしたおしゃれな家になるでしょうね」 ![]() ―――「素敵!真っ白のキューブ型の家なんてとってもカッコいい!けど、白は雨のシミとかですぐ汚れてしまいそう。メンテナンスの費用も考えると……」 一ッ矢「白というと汚れや変色を気にされる方が多いですが、パナホーム独自の外壁素材キラテックならその心配がないんです。付着した汚れを光が分解し雨が流すという自浄力があるので、いつまでもきれいなままです」 ―――「便利な技術ですねぇ。色や質感、タイルの形もいろいろで……」 一ッ矢「それにセルフクリーニング力に加えて、大気中の窒素酸化物質を分解するというエコ効果もあります」 ―――「世の中のものみんな、こんな、環境にいい素材になればいいですね」 一ッ矢「これからはこのような考え方が進んでゆくでしょう、共生とか双方向とか……。そんな意味では家づくりを考えるときも、住まう人の快適さにプラスして、コミュニケーション――快適なおもてなしも備えておきたいですね。アトリエ感覚のリビングとか、広めのダイニング、お客様のウエイティングスペースなど、人が集いやすい家は日常をもっと心豊かなものにしてくれるでしょう」〈了〉 (ワダ) ![]() 愛車のオートバイを家の中でも楽しめるようにと提案されたのは、なんとガレージをショールームのようにリビングにくっつけた設計。
間取り図を見ていると、夢が形になっていっそうイメージが広がります。 こんな家ができたなら、ますます人を呼びたくなりそうです。 おもてなししやすい間取りとは? ―――「ダイニングテーブルは8人掛けですね。かなり広そう」 一ッ矢「ご親戚とか親しいお付き合いのお客様が多いというなら、最初から大きいものを置くことをおすすめします。普段からこれだけ広いと便利ですよ。洗濯物の片づけやアイロンがけといった家事はもちろん、持ち帰った仕事や調べ物など広げる作業にも便利です。子どもさんがいらっしゃれば、大きなスケッチブックでのお絵かきも思う存分させられます」 ―――「エクステンションテーブルを置いても、広げっぱなしにしてしまいがちですものね」 一ッ矢「さらに――平面図を見て下さい――気候の良い時期には、このテーブルをテラスに引っ張り出して、外でホームパーティーもできるんです」 ![]() ―――「ステキ!気持ちよさそう」 一ッ矢「で、中からテラスの眺めもいいんですよ。というのはですね、屋内とテラスの一体感を出すために床の高さを同じにし、パナホームのフルワイドサッシを取り付けます。これは戸袋が外に付いているので、サッシ枠が眺めを妨げることなく窓いっぱいに開けられるものなんです。テラスの上には開閉できるテントを付け、光と風を心地よく楽しめるくつろぎの空間を作ります」 ―――「ガーデニングが整ったら、中までオープンカフェ気分ですね。間取り図を見るとダイニングからリビング、テラス、それにガレージまでつながって開放感満点。ただ、最初の依頼にもあったように奥様はコマメな片づけが不得手で、いつもなんとなく散らかっているのが悩みなんだそうです。こんなにオープンでは来客のたびに慌てそう……」 一ッ矢「その問題には、リビングとダイニングを仕切るこのスライド扉が活躍します」 ―――「ああ、片づくまでお客さまをこのリビングに閉じ込めてしまう……」 一ッ矢「う〜ん、そうならないようにですね、この扉、光だけを通す素材なんです」 ―――「なるほど!ちらかったダイニングは見えないけど、開放感は保てるわけですね」 一ッ矢「そうです。おもてなしの<オープンさ>と住む人の<プライベート>について考えてみました。不意の来客でもっとも気づかうのが、物が散らかっていること。訪問した方も恐縮しますよね。その解消にはプライベートが一切見えないいわゆる応接間に通せばいいのですが、空間的にも気持ちの上でもオープンさはありません。かといって開放して見せる収納というのも実際には限界があります。そこで閉めれば独立した空間になるスライド扉というわけですが、ここで大切なのが光だけを通す素材であるということ。圧迫感が少ないし、コミュニケーションもとれますからね」 ―――「ちょっと待ってね〜、とか声をかけながら、落ち着いて片づけられますね」 (ワダ) ……次回に続きます ![]() |
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