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婚約中のカップルが、新生活を始めるにあたってオーダーしたのは、「自由自在に仕切れる家」。
未来のことはわからないから、いろいろ考えるより、今からきっちり決め込まないのもありかな、と思います。 家の歴史は、家族の歴史 ―――「新婚生活は、新しい家でスタート!夢や希望にあふれた若いカップルは、まだ決められない部分も多いから、作り込みすぎないで欲しいということでした」 久保田「そうですね。インテリアや家具の好みだって完全に一致することはないし、休日の家での過ごし方なども一緒に住んでみて、はじめて知ることになります。だから、作り込みすぎないようにする、というのは賢明だと思います。今までたくさんの方のオーダーを聞いてきましたけど、やはりふたりが協力しあって、意見を一致させている方がスムーズにいきますよ」 ―――「そういえば、私の知人で、家を購入する際に、奥様がすべて仕切って、家具も雑貨も、家の中はカントリー調にした人がいたんですよ。奥様友達からはすごく好評で、奥様も自慢に思っていたんですけど、ある日、ご主人の友人が家に来て、“おまえ、居場所ないなぁ”って、ご主人に。反論するでもなく、同調するでもなく、苦笑いしているご主人を見て、“あぁ、しまった、家族のための家なのに、私は何をしてたんだろう”って。結局、全部家具、雑貨を入れ替えたって言ってました」 久保田「それから、低コストにして欲しいというのがもうひとつのオーダーでした」 ―――「結婚当初って、何かとお金が出ていくんですよね、ホントに」 久保田「だから、オプション的な設えは省きました。意識したのは、オプション付きの家というよりは、ベーシックな家。細かなオプションは、必要になったら加えればいい。暮らしていくうちに住んでいる人たちの個性やこだわりが浮かび上がっていくような建物にしよう、シンプルだけど、基礎がしっかりしている、それこそ、新しい人生の扉を開くステージにふさわしいのではないか、と思ったんです」 ―――「子供が生まれたり、いろんな出来事がある度に、家の中も手を加えられる。家の歴史が家族の歴史って、感じですね」 (ミヤ) ……次回に続きます ![]() 家を買う時、建てる時、多分将来はこうなるだろうなぁと予測しながら、行動するわけだけど、実際は、想定外のことが多いのもまた事実。
「子供は1人」のつもりが3人だったり、両親と同居することになったり、はたまた、ちょっと趣味で始めたことを本格的にやるようになったり。 今回のオーダーは、結婚を控えた若いカップル。 まだ、住まい方についての、明確な指針は持っていないようです。 登場していただいた久保田周平さんは、積水ハウス株式会社やまと支店橿原オフィス設計課に所属する1級建築士。 ![]() 1968年に大阪で生まれ、大阪で育ち、大阪大学工学部建築工学科を卒業しました。 1992年の入社以来、奈良県を中心に約300棟の物件を担当。30坪の3階建てから180坪の2階建てまで、その範囲は多岐に及びます。 仕事でのモットーは、「流行にとらわれず、サスティナブルな設計を」。 こちらの話をじっくり耳を傾ける姿勢に、「この人になら、なんでも相談できる!」と大きな安心感を持ったのでした。 ※sustainabile(サスティナブル):持続可能な、長い期間の持続に耐えることのできる、という意味。 ―――「今回の空想住宅は、現在、婚約中のカップルのオーダーです」 久保田「結婚を機に家を建てる、ということですね」 ―――「はい。まだ、生活を一緒にしたことがないので、お互いの生活習慣や住まいへのこだわりがはっきりつかめていないみたいなんです。だから、家を建てると言っても、あまり細かいオーダーはなくて、むしろ、あまり作り込みすぎないで欲しい、と」 久保田「その方がいいですよ。暮らしてみて、はじめてわかる癖とか好みってありますから。それよりも、例えば、この部屋にはこんな家具を置こうとか、あの空間はこう使おう、と、ちょっとずつ、2人で相談していく方が2人で家で過ごす楽しみを見つけていけると思います」 ―――「新婚生活って、それだけで楽しそうだけど、2人の共通の楽しみが、日常の中にあるのはいいですね」 久保田「意見が衝突することもありますが、でも家族としての絆も深まると思いますよ」 ―――「なるほどね。このカップルは、新生活をスタートさせて、徐々に自分たちふたりの生活スタイルや住まいを作っていきたい、とのことだから、心配なさそうですね!それよりも、ひとつ問題があるんです」 久保田「何ですか?」 ―――「資金です。結婚式やら、新生活に向けての細々した準備やらで、思ったより出費がかさんでるんですね。なので、価格もできるだけ抑えめに…」 久保田「いやいや、よ〜くわかりますよ。資金繰りは切実な問題。ご要望にお応えできるよう、配慮します」 というわけで、今回の依頼を無事に伝達。 プロフィール&依頼内容をまとめてみましょう。 ●家族のプロフィール:男性(31歳)商社勤務、女性(29差)結婚に備え、家事手伝いという婚約中のカップル。来年3月に結婚予定。結婚と同時に、新居を購入することを考えており、自然も多く、大阪市内への通勤や奈良市内への移動にも便利な三郷町に惹かれている。 ●住まいの希望:生活を共にしたことがない二人なので、住居内はあまり作り込みすぎないような設計が希望。自分たちのライフスタイルや家族の人数の変化などに合わせて、ふたりで手を加えていける(例えば、プチ・リフォームなどもできるような)ようにしておきたい。 また、将来子供が生まれることを考慮して、仕切れるフリースペースは、絶対条件。(できれば、子供は3人!) まだ若いので、購入にあたっては、できるだけ低価格で抑えたいというのも現実。 次回は、いよいよ空想住宅の披露です。どんな家になるのか、乞うご期待! (ミヤ) ……次回に続きます ![]() シアタールームもキッチンもオーダー通り。
でも、これって、家族がバラバラにならないの? おせっかいながら、そんな心配が頭をよぎった私(ミヤ)。 でも、大丈夫。川瀬さんのアイデアで、すっきり解消、さすが!なアイデアに感動しました。 開く、閉じる。メリハリが大事! ――「実は、ちょっと気になることがあるんです。ご夫妻の希望は100%叶えたけれど、こんなに個人の希望が叶った家に住んだら、自分の世界にひたりきってしまうんじゃないかなって。ひょっとして、一家離散?なんてことになったら、どうしよう?と心配です」 川瀬「そうですね。ご主人は、休日、シアタールームに閉じこもることになるかもしれません。奥様はキッチンで料理をすることだけに楽しみを見いだすかもしれません。それじゃぁ、家族としてのまとまりがないですよね。そこで、考えたんです」 ――「何を?どうするんですか?」 川瀬「キッチンから続くリビングもAVシアター仕様にしました。家族で映画を楽しめるようにしたんです」 ――「あぁ、それはいいアイデアですね。ひとりでしみじみと味わいたい作品もあれば、家族でアレコレ言いながら楽しみたいなぁという映画もあるから。ご主人おすすめのファミリー映画を、みんなで見ながら、奥様が焼いたピザやクッキーを食べる、なんてすごく心あたたまる光景!でも、AV仕様ってどんな風に?」 川瀬「リビングから2階への階段の一角に踊り場を作り、そこにプロジェクターを置いて、リビングの壁をスクリーンに仕立てました」 ――「映画を見たい時は、家族専用映画館になるってわけですね」 川瀬「そうです。家族って、毎日一緒に過ごすものでしょ、特に大きな出来事がなくても。家でのなにげない過ごし方から、家族の個性やまとまりは生まれて、育まれるんだと思うんです。もちろん、自分ひとりの趣味に没頭するのも必要なことです、人生を充実させるためには」 ――「でも、それだけじゃ、家族がいなくてもいい。家族がいるのなら、お互いを気にかける、ともに過ごす空間も大切、ですよね?」 川瀬「ええ。だから、今回は、家族のための開かれた空間と、自分のための閉ざされた空間を提案しました。家族ひとりひとりが持つ世界を充足させるスペースを追求しつつ、家族全員の世界を深めて欲しい。施主さんならではのご家族像を形づくる助けになれば、うれしいですね。例えば、数年経っても家族みんなで楽しく過ごしています、と言われると、建築家冥利です」〈了〉 (ミヤ) ![]() 小さいながらも、本格的なシアタールーム作りのポイントを伺った前回。
今回は、奥様のこだわりに応えたキッチンの登場。 これまた、なるほど!なお話がいっぱい。 とっても参考になりました。 動線はもちろん、目線にもこだわる ――「ご主人の希望には、十分応えたと思います。こうなったら、奥様のオーダーにもきちんと応えないといけないですね!」 川瀬「そうですね(笑)。アナタの希望は叶えたけど、私は不満だわなんて、ケンカの種になると困りますから」 ――「主婦にとって、キッチンは過ごす時間が最も多い空間だと思うんです。気に入った場所なら、お料理を作るのも楽しくなるし、おいしいものを作りたいな〜と、俄然張り切っちゃったりして」 川瀬「ええ、今までたくさんの家づくりに携わってきましたけど、どんな奥様もキッチンについては、かなり細かい具体的な要望を挙げてきました。普段使っている人の生の声というのは、リアリティがあるし、こちらもなるほど!というものがあります」 ――「家族の人数やライフスタイルによって、千差万別のキッチンの形があるんでしょうね」 川瀬「今回の奥様は、料理がお得意。友人を招いて、料理レッスンをすることも多いらしいので、キッチン&ダイニングは通常より広めに取りました。さらに、作業もしやすいようにアイランドキッチンにしています」 ――「これなら、数人でキッチン台を囲んでも狭く感じませんね」 川瀬「ええ、対面式のレッスンも可能です」 ――「動きやすそう!動きやすいって、料理のポイントだと思います」 ![]() 川瀬「体の動きはもちろん、視線の動きやすさもポイント。この家では、オーブンをキッチンの下部に置くのをやめました。海外メーカーの壁付けのウォールオーブンにしています」 ――「そういえば、レストランの厨房も、オーブンは自然に目に入る高さにありますね」 川瀬「そうでしょう。料理する時の細かな動きって、意外と手間。目線を変えずに、切る、焼く、煮る、蒸すなどの作業を出来るようになるとかなりラクになるはずです」 ――「私も、さっそく、オーブンの位置を変えてみよう!」 川瀬「いいですよ、ぜひおすすめします」 (ミヤ) ……次回に続きます ![]() |
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