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建築家の仕事〜それは、家の物語の序章を作ること〜〈7〉
リビングに、ちょうどいい和を(2)

リビングをプランニングする際、設計士の児玉さんが配慮したのは、和空間との連続性。
居心地の良い空間にするための、さらなる提案が続きます。


――「ところで、ダイニングキッチンとは仕切られているのですね?」
児玉「はい。リビングはくつろぐ場。ゆったりとした気持ちになって欲しいので、生活感のあるダイニングキッチンとは、一線を画しました」
――「主婦の視点で見ると、それはとてもいいアイデア。食べることが中心になるダイニングスペースは、どんなに整理整頓を心がけていても、どうしても雑然としてしまうんですよ。食べるということは、もちろん生活する上ですごく大切なわけですけれど、お客様が来た時には見られたくない場所なんです」
児玉「ええ。そういう狙いで、壁を作りました。この壁、RC造りなんですよ」
(↓クリックで拡大します)
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――「コンクリートの打ちっ放しって、とても現代的です。でも、古材の梁やお隣の和室との違和感がない。というか、ほどよい感じです。この壁を和テイストにしてしまったら、いかにも!な印象になるんですけど。そういう部分って、もう、建築士さんのセンスなんでしょうね」
児玉「あえて異質のものを持ってきたい、新しいものと古いものの共存する空間を創りたい、と思ったんですよ」
――「ああ、そうなんですか。実際、リビングに置くのは、例えば、テレビやオーディオセットなど、新しさを感じさせるもの。もともと、新旧融合がされている空間なら、最新の家電も違和感なく収まりそうです」
児玉「家族団らんに来客、子どものゲーム遊びやTV鑑賞、とリビングにはいろいろな使い方がありますから、空間自体がなにかひとつの雰囲気に偏るのは避けたいなと思いました」
――「いろいろな考察があって、空間が出来上がっていくのですね」
(↓クリックで拡大します)
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児玉「そうです。それこそ、施主様のライフスタイルから考え方、家へのこだわりまで頭の中でいろいろシミュレーションをして、ひとつのプランを提案させていただきます。今回のように、和空間の演出を設計段階でプランニングすることもあります。それを気に入っていただくのは設計士冥利ですね。
でも、家は暮らす人たちのもの。暮らしていくなかで、深い愛着を持っていただけたら、と思っています」〈了〉
(ミヤ)

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12/18 11:00 | 児玉哲志の空想空間 | CM:0
建築家の仕事〜それは、家の物語の序章を作ること〜〈6〉
リビングに、ちょうどいい和を(1)

家の中心に和室を持ってきて、日常的に和の空間に慣れ親しむこと、様式や格式を飛び越え、あらかじめ演出をすることが和室への苦手意識を取り除くという児玉さん。
家族が過ごすことの多いリビングは、さて、どんな演出を施すのでしょうか?


――「この間取りでは、和室の南隣がリビング。二つの空間を仕切る戸は、格子戸のようなデザインです」
(↓クリックで拡大します)



児玉「はい、襖にすると和に片寄りすぎるので、格子模様の引き戸にしました」
――「ここを閉じれば、それぞれに独立した空間にもなるし、開ければ連続した空間になりますね」
児玉「庭は和室側にあるので、普段は開け放していることの方が多いかと思うんです。その際、戸が浮いた存在にならないよう、どちらの空間にも馴染むようにするというのは、案外重要なことですね。それぞれの空間の中については、いろいろな工夫をしても、意外に戸というのは見落とされることが多いので」
――「ああ、そうですね。隅々にまで気を配らないと、印象を損なうことがあるから注意しないといけないポイントかもしれませんね。うん、この格子戸ならどちらの空間にも違和感がありません」
児玉「ええ。さらに加えて言うと、リビングの天井の梁に使用している古材と同じような色、材質のものを使っています」

(↓クリックで拡大します)

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――「ホントですね!この梁と相性抜群」
児玉「古材というのは、1点ものなので、空間にぴったりのものを選ばなくてはいけないんです。例えば、施主さん側から、この古材を新しい家のどこかに利用して欲しい、とあらかじめオーダーされることもありますし、こちらが設計プランを立てて、ここに古材を使いませんか?と提案することもあります」
――「よく古材を用いた家の紹介をメディアで見る時って、もともと住んでいた家で使われていた、という場合が多いのですが、そればかりじゃないのですね」
児玉「そうですよ。古材が好きで、住む家に使いたいけど、もとの住居が集合住宅という方もいますからね。古材との出会い方は、100件家があれば、100通りある。ホントに千差万別ですよ」
――「これだ!という古材との出会いも、また楽しみのひとつ?」
児玉「はい。完成のイメージと材料がピタッと一致する瞬間は、何とも言えません」
――「家の一部に使われる材料ひとつにも、物語がある。そう考えると、家づくりってすごくロマンチックですね」
(ミヤ)

……次回へ続きます


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12/11 11:00 | 児玉哲志の空想空間 | CM:0
建築家の仕事〜それは、家の物語の序章を作ること〜〈5〉
あらかじめ演出された和室とは?(2)

床の間を大胆に演出し、従来の和室の重々しさを軽減した児玉さん提案の和空間。
他にも、なるほど!とお手本にしたいアイデアがいっぱいです。


児玉「このガラスブロックで作られた床の間には、もうひとつの演出効果があるんです」
――「家にいながらにして、光を感じられる、以外にですか?」
児玉「ええ、それは屋内の話。屋外も演出するんです。ガラスブロックの両サイドに照明が付いてますよね。これを点けて、ガラスブロックに灯りを当てると、外からぼんやり浮き上がったような感じになるんです」
――「つまり、外から見た人にも楽しんでもらえる、ということ?」
児玉「そうです。住んでいる人以外の方にも視覚的な楽しみをもたらすというわけです」
――「ああ、それはいいですね。柔らかい光が洩れてくる家ってそれだけで幸せそう。見ず知らずの人が住む家でも、通りがかるたびに、幸せな気持ちになれるような気がします。
ところで、この設計プランのイラストを見ると、畳が正方形。これって、琉球畳ですよね?」

(↓クリックで拡大します)



児玉「はい。正方形の畳を配すことで、空間の連続性を出したいなと考えました。実は、琉球畳って強度が強いんですが、非常に稀少で、価格も高いんですよ」
――「そうですよね。沖縄産のい草で作られているとか。以前、訪れた老舗の宿で使われていたのですが、ズシッと足に密着するような踏み心地で。すごく気持ちよかったのが印象に残っていて、いつか家を建てるなら、和室は琉球畳にしたいと思っていたんです。でも、高いとなると…」
児玉「今まで担当した施主様の中にも、価格を聞いて諦めたという方がいらっしゃいました」
――「やっぱり…」
児玉「琉球畳に限らず、畳の良さって、もっと見直されてもいいんじゃないかと僕は常々考えています。表換えができるので、清潔も保たれる。畳独特の青々とした匂いも五感を刺激します。自然との共生を暮らしの中で感じられると思うんです。



床の間の光の話もそうですが、日常生活の中で、自然を当たり前のように取り入れる。和室では、それがすんなりとできるのではないでしょうか」
(ミヤ)

……次回へ続きます


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12/04 11:00 | 児玉哲志の空想空間 | CM:0
建築家の仕事〜それは、家の物語の序章を作ること〜〈4〉
あらかじめ演出された和室とは?(1)


普段から慣れ親しむことが、和室をカジュアルに使いこなせる秘訣と語る児玉さん。
お客様を迎える空間というオフィシャルな使い方だけではなく、家族のプライベートな空間としての演出を具体的にお話ししてくれました。



――「家の中心部分に和室を置いたら、使い方も変わると思います。でも、そのためには、ビジュアル的にも他の空間と調和しなくちゃいけないんじゃないかなと心配です」
児玉「ええ、わかりますよ。いわゆる、ごく平均的な床の間や欄間がある和室を想像すると違和感があると思います」
――「なんか、和室の厳かな雰囲気に引っぱられて、リビングも重厚感を出さなきゃと考えそうです」
児玉「その心配は無用です。まず、こちらの和室のイメージ図を見ていただきましょう」
(↓クリックで拡大します)



――「あっ、これは!床の間があって、畳があって。確かに和室だけど、和室とは言い切れないような、でも、洋室でもないし。やぱり和室ですね〜」
児玉「そうでしょう。二間分すべてを床の間にしましたが、違い棚や書院を設置せず、すっきりと見せるようにしています。一番のポイントは、なんといっても、壁面にガラスブロックを持ってきたことですね」
――「すごくモダンですよね。外からの光を楽しめるというのがうれしいです」
児玉「朝の光、昼の光、夕方の光と、日々の暮らしの中で、刻一刻と変化する光を楽しめますよ。
今の時代、便利になりすぎて、時間や季節、天気の変化を目や肌で感知することって少ないでしょう。普段の生活空間で、それらを感じられたらいいなと考えました」
――「それは、ステキなことですよね。私たちの情報の取り方って、メディアによるものが多いなと感じます。それも、年々スピードが速くなってきてるし、情報量も膨大になってきて、自分自身が感じていないのに、時間や季節だけは変わっていってるような感覚とのギャップも。
でも、朝と夕方の光が違うとか、今日は光がぼんやりしれるから雲が多いのかなとか、そういう微細な変化への勘は鈍ってきている」

児玉「毎日暮らす家で、そういう小さな変化を楽しめるのって、些細だけど、大切。平凡だけど、日々の暮らしへの愛おしさが増すし、家への愛着も深まると思うんです」
(ミヤ)

……次回へ続きます


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11/26 19:09 | 児玉哲志の空想空間 | CM:0
建築家の仕事〜それは、家の物語の序章を作ること〜〈3〉
あえて、家の真ん中に、和空間を

和室の使い方が苦手な人が多くなっている現在。
和の空間を家から取り去ってしまうのではなく、設計段階である程度の演出を施した和空間を作ればいい、と話す児玉さん。
そこには、他の部屋と和室との間に違和感を感じさせない工夫がありました。


児玉「和室って、お客様を迎え入れる空間という捉え方をすることが多いのですが、もっとカジュアルに使って欲しいなと思うんですよ」
――「カジュアルに、って?」
児玉「普段の暮らしに溶け込んだ使い方、とでも言いましょう。例えば、この図を見てください。
(↓クリックで拡大します)



1階を俯瞰でとらえたものなんですが、ウッドデッキを付けた庭、庭に面した空間を和室にしました。さらに、その南側にリビング、東にダイニングを配しました」
――「ちょっと、あんまり見かけないような間取り図ですね。一般的に、和室は、この図で言えば、ダイニングあたりに配されそうな気がします」
児玉「そうなんです。どうしても、和室は隅に追いやられる傾向があるんですね。苦手だから、使いづらいから、隅に置く。そんなことをしていたら、カジュアルに使いこなす機会も失われていってしまいます」
――「それで、あえて、家の真ん中に持ってきた、というわけですね?」
児玉「はい。リビングから和室、ウッドデッキ、さらに庭までを、いわば、ひとつの空間ととらえてもらったら、と考えました」
――「ひとつの空間、ですか?」
児玉「例えば、家族が集まって話をしたり、TVを見るのはリビングで。その横にある和室では、ゴロンと横になってリラックスしたり、読書にふけったり。外で過ごすのが楽しい季節には、ウッドデッキに出てみたり。さまざまな個性のリビングスペースが集まっている、という感じですね」
――「確かに、リビングと和室、ウッドデッきそれぞれの空間を遮るための戸を閉めずに、開け放しておけば、大きなリビングのようです」
児玉「そうでしょう。さらに庭を眺める場合、和室を通して見る、ということが必須になるんです」
――「この間取りだと、和室は普段の生活で、どうしても目に入ってしまう空間だから、使い方を考えるし、どんな空間にしようか、と思いを巡らすことにもなりますね」
児玉「そうでしょう。そういうところから、愛着って湧いてくるし、空間へのこだわりが生まれてくると思うんですよ」
(ミヤ)

……次回へ続きます


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11/20 11:43 | 児玉哲志の空想空間 | CM:0 | TB:0
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