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動線も収納もアイデア満載の中根さんの提案を聞いていると、 二世帯同居の大家族生活も楽しくやっていけそうな気分。 現代の生活感性に合った二世帯住宅の考え方を伺ってみました。 家族の絆を深める、家のチカラ。 ――「二世帯住宅のお仕事って実際いかがですか?家族が多いと意見がまとまりにくいこともありそうですが」 中根「そうですね」 ――「どんなところで意見がぶつかるのでしょう?」 中根「いえ、むしろお互い気を遣って言いたいことを抑えてらっしゃるケースが多いですね」 ――「ああ、なるほど。遠慮しちゃうんですね」 中根「そう、だから私は個別に打ち合わせをします」 ――「親世帯と子世帯、別々に?」 中根「そうです、別々に。どんな風に暮らしたいか、ご希望を細かく伺います」 ――「世代が違えば親子といえども価値観に差異はありますからね。快適と感じるものも違う」 中根「新しい家には誰だって希望や理想は持っているはずです。たとえ漠然としたイメージだけであっても。そこを徹底的に聞き出すのです」 ――「個別なら本音もいいやすい。そうやって聞き出した意見を、バランス良くまとめる……」 中根「それが私の仕事ですから。家族全員の最大限の満足を目指して描いてゆきます。 家って構造や素材など、建築物としての上質さはもちろんですが、同時に家族の絆を深めてゆける、そんな包むような優しさのある間取りや機能も必要だと思います」 ――「環境の気持ちへの影響って大きいですものね」 中根「それに二世帯住宅ってやがては世代交代する時を迎えるものでしょう。それを踏まえて子世帯は親世帯の気持ちになって間取りを考えると、何を選んでどう決めればいいのかが見えやすくなると思います」 ――「なるほど〜、そこまで考えてヒヤリングをされるのですね。将来どんな暮らし方をしているか、未来のことを具体的に想像するのって案外難しいです。私も実際考えてみたら、理想はいろいろあるけど、それって今のことばかり。けれどいろんな一瞬一瞬をつなげた先に未来があるわけで、その両方をイメージしながら今回のプランをご提案いただいたのですね」 ![]() 中根「家族にとって嬉しいことがあればもっと楽しく盛り上げ、ブルーな出来事は一人ひとり優しくフォローする、それが家の力だと思っています。日々の絆とその毎日をつなげる絆を宿す家。ですので今回のプランには『絆』とタイトルを付けました」〈了〉 (ワダ) ![]() 親世帯、子世帯、そしてゲスト。3つの動線がすっきり決まったところで、
次に気になるのが収納の問題。たとえば、毎日使う靴やバッグ、 そして洗面台のまわりに置かれる化粧品や小物類。 これらはしまい込むのではなく、 いつもすぐ取り出せるところに置いておきたいものです。 けれど家族全員がそれをしてしまうと収拾がつかなくなって大変! 今回は、日常よく使うこまごました物の収納に的を絞って伺います。 家事が楽しくなる収納ユニットとサニタリー空間 ――「二世帯同居で家族が多くなると、その分物は多くなり収納にはなにかと工夫が必要です。洋服タンス的なウォークインクローゼットや、買い置き品、季節物の収納庫も大切な問題ですが、今回は特に日常よく使うものの収納についてのアイデアをお願いしておりました」 中根「はい、そうですね。毎日使うものは結局すぐ取り出せる場所に出しっぱなしになりますよね。その筆頭が靴。家族が多いと玄関はいつもなんとなく散らかりがちではないでしょうか」 ――「下駄箱もすぐ満杯になってしまって、シューズラックを置いたりしますが、狭くなるし見た目にもきれいじゃない……」 中根「そう、玄関ってそれだけじゃないでしょう。旅行から帰ったばかりのトランクやゴルフバッグも置きませんか」 ――「置きます。それで、落ち着いたら片づけるとか言って、何日もそのままに……」 中根「ありがちでしょう?なのでいっそ玄関を来客用と収納が付いた家族用に分けてしまってはいかがでしょう?」 ――「それはいいですね!家族用の通用口だから気にせず置けますね。下駄箱とは別にラックや洋服掛けもあれば、花粉症の季節はコートをいったんここに掛けておけばいいし」 ![]() 中根「このシューズクロークのアイデアは、実はアメニティプロデューサーの近藤典子さんと大和ハウスのコラボレーションによるものです。靴の他にも服、食品、日用品などがあり、収納は使う場所に設けるというというのが基本的な考え方。すぐ取り出して、すぐ片づける。これならいつもすっきり暮らせます」 ――「なるほど〜(パンフレットを見る)……さすが、どれもこういうのが欲しかった!という収納ですね。アイデアの面白さにひかれます」 中根「物が多い場所ということでは、洗濯・洗面・脱衣場のサニタリースペースもそうですね」 ――「できる限り家で洗濯しようとしたり、汚れの種類に合わせて洗剤を買いそろえると結構な数になって、それが母親世代にとってはよけい非効率的に見えるようです。シャンプーや入浴剤も、気分に合わせて香りを選ぶため何種類かあるし。スキンケアコスメやヘアケア剤に至っては、家族みんな専用の物を持つでしょう。あとタオルにドライヤーに……」 中根「そうそう、暮らしの中ではとても大切な場所ですね。今回のプランでは宿泊ゲストの利用も考慮して、思い切って約3畳分の面積をとってみました」 ――「それは広い!」 中根「洗面台は混雑しないように2つ設置。一つを手洗い洗濯に便利な大きめシンクにするのもいいですね。そして洗濯機や洗剤、たらいなどの備品、タオルや下着などは専用のクローゼットに入れてしまいます。扉を締めればすっきり片づきます。またこの3畳という広さは、万一介護が必要になったときの備えにもなるんですよ」 ――「……!ああ、そこまで考えていませんでした!!そうですね、ゼッタイないとは言い切れないですものね」 中根「そして窓の外には坪庭を設け、緑が見えて、風の通る清々しい空間にしました。水回りに見える緑ってキレイでしょう」 ――「目に付かない場所が快適だと、気持ちにもゆとりができそうです」 (ワダ) ……次回へ続きます ![]() 家を建てた当初は来客でにぎやかだったけど、やがて二世帯を理由に遠のいてゆくようになっては淋しいもの。
家族もゲストも気兼ねせず、楽しく快適にすごせるよう、開放感とプライベート性を両立した間取りのお話を伺います。 二世帯とゲスト、3つの立場を考えた間取り。 ――「二世帯同居でお泊まりゲストのおもてなしも快適に、という依頼でした。限られた面積で人の動きや居場所が混乱しないようにするためには、なにから考えればよいのか見当もつかず……」 中根「そうですね。考えるべき大きなポイントは2つあると思います。主婦が2人ということとゲストの動線。まず、2人の主婦が同時に家事をできるよう、居場所から考えてみましょう。子世帯のゲストが滞在している間、お姑さんが自室に引っ込まざるを得ない、なんてことは避けたいですよね。かといっていっしょにキッチンに立つのは実際、気を遣うことではないでしょうか。 ダイニングキッチンに一段高くなった畳敷きのスペース――家事室を設けました。アイロンがけとか、料理とは別の家事をするための場所です」 ――「なるほど〜。居場所って大事ですものね。さり気なく空間を共有できるのがいい。しかも出しゃばることもなく。気配りと開放感が自然ですね」 中根「でしょう?そして次は動線について。親世帯、子世帯が互いに気兼ねせず自分のゲストをもてなすには、家族のプライベート空間を一切見せないようゲスト動線を考えます」 ――「それがいちばん難しそう。自分たちなりに間取りを考えてみたのですが、ごちゃごちゃになりました」 ![]() 中根「ゲストはまず応接間を兼ねたリビングルームにお通しするでしょうから、ここから考えてみます。 間取り図を見て下さい。玄関を上がってすぐ左がリビング、その奥には2階へつながる階段とダイニングキッチンにつながる通路があります。リビングとダイニングは隣り合わせですが壁で仕切っているのでおもてなしの舞台裏が見えません。けれどドアで仕切らず通路で隔てているので、双方の空気感は伝わります」 ――「独立感の高い応接間と、開放感のある現代的なリビングダイニングの、いいところを融合させたって形ですね」 中根「そして2階のゲストルームへはこの階段を上がってすぐ。洗面やトイレへも間取り図のように、プライベート空間を通らず行けるようになっています」 ――「あ!ホント、すごい。このリビング、ゲストルームとほぼ直結ですね。家人の寝室の前すら通らない。キッチンも、ダイニングで食事をするとき以外は全然見えないですね」 (ワダ) ……次回へ続きます ![]() 二つの家族が一つ屋根の下に暮らすと、お付き合いも2倍。
異なる世代や未知の職種の事情に、ちょっと詳しくなれたりします。 今回の二世帯住宅は、親世帯、子世帯とも気兼ねせず、 自分のゲストを存分におもてなしできる家について考えます。 今回お願いしたのは、大和ハウス工業(株)奈良支店の住宅設計課ハウジングデザイナーの中根理さん。 施主の要望と設計士の提案を取り持ちながら、住宅のプロとしてベストな家を企画し、コーディネートするお仕事です。 20年先、30年先の家族のあり方まで見通した提案はとてもリアルで、どれをとっても「そうなんだ!」と気付かされることばかり。 ![]() 近畿大学で造形デザインを専攻。入社後数年間は大和ハウスが手掛けた住宅の巡回点検、リフォーム工事を担当し現職に。入居年数を経た施主の生の声を、一軒一軒聞き歩いた経験を生かし、既製の形や在り方にこだわらず、住む人のライフスタイルに合った提案をプランニングのモットーにしている。2006年、大和ハウスの全国住宅系設計コンペで最優秀賞を受賞。 ――「今回依頼のご家族は、このような構成です。ご両親と息子さん夫婦のコミュニケーションがいいらしく、キッチンや水回り、リビングは共有にしたいというご希望です」 夫(61歳)パート勤務、妻(57歳)会社勤務、長男(33歳)高校教諭、嫁(31歳)専業主婦、孫(2歳) 中根「共有部分が多ければ、一つひとつのスペースをゆったり取れますね」 ――「ところがひとつ、大きな要望がありまして。親戚やお友達に気軽に泊まっていってといえるゲストルームが欲しいとおっしゃってます」 中根「それはいいですね。ゲストルームを用意していると、お付き合いも広がるでしょう」 ――「……なのですが、お泊まりゲストは歓迎だけど実際具合的な場面を想像すると、やはり気兼ねすることがいろいろ出てきます」 中根「でしょうね。共通のお知り合いならともかく、親御さん、または息子さん夫婦、どちらか一方だけのお付き合いの方がいらっしゃったとき、ぎくしゃくしそうですね」 ――「そうです。お嫁さんだって自分の姉弟姉妹、仲の良い従姉妹とか友人を呼びたい。ご両親がどうぞいいですよ、といっても、たとえばリビングでみんないっしょに過ごすのはちょっと気を使う……」 中根「微妙ですね」 ――「反対に親御さんの方のゲストがいらした場合、リビング、ダイニング、キッチンがワンフロアになって動きが丸見えでは、お嫁さんは気が休まらない」 中根「なるほど。お風呂や洗面も一つなら、二世帯とゲストが共有することになりますしね」 ――「そうです、そうです。お泊まりゲストのときは一番気を使う場所です。汚れ物があったり、すぐ物がごちゃごちゃになるし」 中根「親子でも見せたくない部分ってありますものね。人が集いやすくて住みやすい二世帯住宅を考えましょう」 ――「よろしくお願いします」 二世帯同居で水回りはひとつ、親戚、知人の出入りがたくさんあって……よく考えてみたらこれって昔の日本の住まい方です。 プライベートがない、世代間の感覚格差という理由でかつては敬遠されていた住まいの形が、核家族が当たり前になった現代、もう一度見直されています。 プライベートを尊重しつつ、家族それぞれの付き合いを持ち込める家、それは子どものコミュニケーション教育という点だけでなく、大人の社会的好奇心も刺激する環境となるでしょう。 次回から中根さんのプレゼンテーションを伺います。 (ワダ) ……次回へ続きます ![]() |
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