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ふたりのためのリビング〈7〉
同じ空間にいながらそれぞれがしたいことに集中できる、
つかずはなれずのリビング。
実際、奥村さんの仕事の現場でも、そんなニーズが増えてきているそうです。
ここでは、成熟世代のカップルのために、ということで提案されていますが、
お話を伺っていると、どんな世代でも心地よく便利に暮らせそう。
それもそのはず、60年以上住める家を目指して考えられています。



自立しながら、つながっている。新しい家族のスタイル。

――「今回、〈つかずはなれずのリビング〉というテーマで、お話を伺ってきましたが、やはりふだんからこのような依頼が多いのでしょうか?」
奥村「そうですね、施主様からはっきりと、つかずはなれずにして欲しい、と言われたことはありませんが、ご要望を一つひとつつなげていくと、つまりは〈つかずはなれず〉だったんだ、という結論に至ることが多いですね」
――「なるほど、思いに描いた希望をまとめて形にするのが、建築士さんのお仕事ですものね。
奥村さんご自身はまだ熟年世代よりずっとお若くていらっしゃいますね。施主様と世代が離れているがゆえの難しさって感じることはないですか」

奥村「それは、どうでしょう、言われてみれば同世代のほうが確かに理解が早いかもしれませんが、けれど今まで世代が離れてるから難しいと感じたことはないですね。まず、我が社にはさまざまな研究の蓄積があります。アンケートとか、事例集とか。それと先輩や上司から受けるアドバイスや、日頃の会話も大いに参考になりますね。だから、一人でこもって考えるということはないです。もちろん、自分の仕事は自分で仕上げますけど、アイデアとなるものは社内にたくさんありますから」
――「情報が共有されているのですね」
奥村「それと、当たり前のことかもしれませんが、施主様のご要望を素直に形にすることが第一歩と思いますし」
――「既成概念を払うということでしょうか」
奥村「ええ。〈つかずはなれず〉に関係する話ですけど、以前、ある施主様から、夫婦の寝室を別にしたいぐらいだ、というお話があって。隣合うのが当然と思っていたので意外でした。なぜそうおっしゃるかというと睡眠のサイクルって個人差がありますよね」
――「片方の帰宅が遅くて就寝時間がまちまちだったり、夜中に物音で起こされるとそれから寝られない、とか、聞きますね」
奥村「で、思い切ってベッドを頭合わせに配置してみたんです。そうしたら好評をいただいて」

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↑ヘッドボートを間仕切りにして、縦並びにベッドを配置。

――「安眠は一人でぐっすりというわけですね。ここにも個の時間を大切にしたいという考え方が表れていますね。
今までお話を伺ってきて感じたのですが、自立とか個人の尊重という言葉が、いよいよ家のカタチにも表れてきているのだなあ、と。今まで、子ども部屋はあっても、夫専用とか妻専用の空間はありませんでしたよね。夫の書斎はありますが、それはどちらかというと、家長としての閉ざされた空間ですし。それが肩ひじはらないオープンな形で、それぞれのための空間が同等にある」

奥村「それが多分、時代なのでしょう。
ところで、この家は成熟世代のカップルのためにとして提案しましたが、もちろん、若い世代にもおすすめですよ。リビングとダイニングの間を壁ではなくテレビボードで仕切ったのはそのためです。これを取り払うとひと続きになってお子様を広く遊ばせることもできます」
――「そういう意味でもこのキッチンの見晴らしのよさはいいですね。目が届きます」
奥村「旭化成ホームズの建築は、60年以上の耐久を目指しています。すでにロングライフ住宅なら、鉄骨、基礎など基本的な構造部分は60年間メンテナンスフリーです。ですので、施主様のご依頼に加えて、次の世代の家族に対応できる配慮は常にしています。」
――「未来の10年は長いようでも、過去の10年をふり返るとあっという間ですものね」

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奥村「自分自身、子供が出来てから世代とか、時間というものをよりリアルに意識するようになりました。そこで改めて重要性を感じるのが、安全性です。構造、間取り、すべてにおいて安全であることは、当たり前であるべきことです。だからなによりも優先すると思っています」
――「やはり建てるのなら手入れしながら長く住める家がいいですね。今日はどうもありがとうございました」〈了〉
(ワダ)

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03/18 11:00 | 奥村一生の空想空間 | CM:0
ふたりのためのリビング〈6〉
前回、収納計画で上がった〈適材適所〉という考え方、
これは窓計画についても同じだと奥村さんは言います。
まず考えるのは、居場所に対して採光が心地よく、眺めがいいこと。そして、風通し。
見た目のよさや理屈ではなく、暮らし方からの発想が決め手。
窓の位置一つで快適さはずいぶん変わるので、これも聞き逃せないお話です。


眺め・明るさ・風通し。窓も適材適所に計画。

――「先ほど説明いただいた、ワンフロアの中に作る〈こもる空間〉――今回のプランではテレビに集中できるリビングと、妻の書斎スペースなんですが――どちらも集中できる分、囲われています。けれど、視線に合わせて窓があって開放感がある……」
奥村「そうです。窓は採光に加えて、風の流れや景観も考慮して作ります」
――「私は明るすぎるところはちょっとしんどいんです。どうも人よりまぶしがりみたいで。だから日光がさんさんと降り注ぐ中にいるのは苦手。けど、やはり昼間は太陽光線で暮らしたい……というのはうるさい注文でしょうか」
奥村「もともと光と向き合って座るようにはしませんから。間取り図を見て下さい。真ん中あたりに吹き抜けを作っています。これはちょうどダイニングテーブルの真上ではなく、ちょっとずらしています。リビングやキッチン、ダイニングテーブルの反対側は、吹き抜けの壁部分に反射した光を受けることになるので、やわらかで明るい光が入ります」

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↑2階の吹き抜けから、階下を見下ろす。手前がダイニング、向こうがリビング。

――「なるほど、吹き抜けはそういう効用もあるのですね。階下の空間に光をやわらかくまわすという……」
奥村「で、リビングの窓、というかこれはウッドデッキとリビングを一体化できるようにガラスサッシにしています。ここには2階部分がひさしになってるので、ちょっと影も出来るでしょう。たとえば、真夏の昼間にテレビを観る、などというときはブラインドを下の方まで降ろしても、ソファの背後の壁に窓があるし吹き抜けの反射光も入ってくるし」

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↑扉を開放すれば、ウッドデッキと一体化できるリビング。

――「光の様子までイメージできたら、家族の気配を感じられる<こもる空間>というのがわかってきました。孤立せずに集中できる居心地のよさ……」
奥村「採光や通風は家作りにとって重要です。ご自身が心地よいと感じる光はどういうものか、設計士にはっきり伝えていただいたほうがいいですよ。
妻のデスクスペースも、目の前が窓ですがこちらは外のグリーンで影を作るのも一つの方法ですね。あとキッチンの勝手口もガラスの扉にし、そして収納の上にも窓がありまして、採光と通風を考慮して設置しています」
――「和室の様子はどうなんですか。今までリビングとキッチンの話しばかりでしたが」
奥村「やはり和の空間も欲しいというご要望は多く、それでいて生活の基本は洋スタイルなので、モダンな感覚の和室というのを作ってみました」
――「たたみや和の建具があると、ほっとしますものね」
奥村「ポイントは、洋スタイルのリビングと調和のとれたデザイン。それとどうしても仕切ってしまうので圧迫感のないこと。この写真をご覧ください」

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↑玄関からの視界。玄関ホールの向かいに和室がある。障子戸の右手がダイニング。

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↑玄関側から見た和室。

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↑ダイニング側から見た和室。

――「窓がぐっと下に」
奥村「たたみでくつろぐことから、地窓にしました。この物件では窓の外にスペースがないので、坪庭を作る予定です」
――「隣家の壁と接近しているのですね。だからあえて上部は収納でその下に地窓を」
奥村「はい、ちらっと見えつつ開放感をもたらせればと。そして障子を開け放してダイニングとつながってもなじむ内装にしました」
――「こっちにテレビを置いて、たたみでごろ寝もいいですね。なるほど、リビングが和と洋の2つあるという設計なんですね」
奥村「そうです。結局1階はワンフロアでつながっているんですよ。和室も障子だけにしているので、締め切っても気配は感じられます」
――「来客時は状況に応じて、どちらかを使えばいいですね」
<ワダ>
…次回へ続きます。


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03/11 12:12 | 奥村一生の空想空間 | CM:0
ふたりのためのリビング〈5〉
いくらステキなインテリアに囲まれても
物が雑多に散らかっていたのでは台無し。
生活に必要な道具やモノは、本当に数が多く、あっという間に増えてしまいます。
「理想の空間」ではなく「日常の現実」から発想する収納の提案は、
毎日の暮らし方にも役立ちそうです。


収納は、「理想の空間」ではなく「日常の現実」から発想。

――「使う場所の近くに収納スペースを作る……間取り図ではキッチンの壁面収納と、リビングのテレビの上の空間を利用した壁面収納だけのようですが」
奥村「このキッチンの壁面収納はかなり容量がありますよ。そしてキッチン台のダイニングスペース側は、こんな感じで使えます」

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↑キッチン台の下の収納スペース。
ダイニング側は生活のこまごまとしたものを、キッチン側はキッチンに必要なもの――大型の鍋や瓶類などの収納を想定して設計。


――「わぁ〜!これはきっと便利!間仕切りとか工夫すれば、生活で使う雑多な物が一気に片づきそうですね。旅行のパンフレットや家電機器の説明書とかもここに入れておけば見たいときにすぐ取り出せて、片づけられるし。文房具類とか、薬箱、それに電気の延長コードとか、簡単なドライバーセットとか……収納したい物が次々浮かんできますよ」
奥村「リビングの収納は、あえてテレビスペースの上に作りました。ここは使う頻度は少ないけど、近くに置いておきたいものを入れるのにいいかな、と。ダイニングのテレビは間仕切り代わりなので、上部を開けて下部に引き出し収納を」

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↑画面の奥、テレビスペースの上に設置されているリビングの収納。

奥村「リビングには、ソファの横にもオープン棚を作っています。写真では飾り棚仕様にしていますが、実用的な収納空間にしてもいいですね。ここはキッチンとの境になる部分で、こういうちょっとしたスペースを活用して棚板をつければ収納になります」
――「なるほど、ソファからすぐ手の届くところだからこれも便利そう。リモコンの置き場所もテレビ廻りより、ここの方が近くていいかも」
奥村「そうなんです。日常の収納は〈適材適所〉の考え方が大切だと思います」
――「バーンと壁面収納にしてしまえば今より収納スペースが広がって、居住空間がすっきり片づくと思っていたのですが、実際やってみるとあまり変化はなく、かえって圧迫感が増した経験があります。しかも場所があるとどんどん物をためこんで、それが手の届きにくい場所だと循環が悪くなって……」
奥村「収納は、一個所にまとめるという考え方もあると思いますが、やはり手の届く場所、使ったらすぐ片づけられる場所にあるのが現実的でしょう」
――「そう、薄型家具を使った壁面収納って、アタマの中で描くほどすっきりしませんでした。もとが狭いからそんなにうまくいくわけないですよね」
奥村「床面積うんぬんでなく、結局それも適材適所ですよ。空間の使い方、つまり間取りも含めてのバランスです」
――「ソファやダイニングテーブルなど、座る場所に近いところは上はすっきり開けて、手の届くところにしっかり収納を作るほうがいい……」

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奥村「そうです。旭化成ホームズでは〈リビングとダイニングに壁面積で7平方メートルの収納〉というのが基本的な考え方です。7平方メートルってかなりありますよ。これを随所に分散させて作るので、収納の多さを感じさせないのです」
――「う〜ん、そっか。適材適所……〈理想の空間〉から描くのではなく、〈日常の現実〉から発想するものなんですね、とくに収納は」
(ワダ)

……次回へ続きます


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03/04 11:00 | 奥村一生の空想空間 | CM:0
ふたりのためのリビング〈4〉
間取りに考慮すべきは、夫と妻の、家の居心地に求めるものの違い。
男性は<こもり感>を、女性は<見通し感>を
重視する傾向にある、と、奥村さんはいいます。
けれど、見通しの良さと集中しやすい個室空間は、正反対の要望。
これを間取りで工夫して、見事に両立させています。


こもっても、広がりのある視界。見通しの良い家。

奥村「もう少し、見通し感についてお話しましょう。具体的に見て頂きましょうか。まずキッチンの流し台に立って玄関ホールの方を見るとこんな様子です」

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↑キッチンの流し台から玄関ホールを見た様子。真ん中にダイニングテーブルがあり、その奥が玄関ホール。
左側の扉を開けると、玄関のたたきまで見える。右手には2階への階段、その奥は和室。


――「この画面の左側がリビングですね。相手が1階にいるか、2階にいるか、来客があったのか、夫、妻とも分かりますね」
奥村「さっきの視点を玄関ホール側から撮ったものがこちらです」

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↑ダイニングテーブル側から見たキッチン。後ろはキッチンの収納。
コンロの前には耐熱ガラスのついたてがある。


――「このロケーション、オフィスならボスの机って感じですね。統括部長はフロア全体を見晴らせる位置に座ってるものでしょう(笑)。そう、アイランド型キッチンの良いところが十分に発揮されていますよね。料理しながらコミュニケーションも取れる。けど、妻も時には勉強とか書き物とか、こもりたいこともあるんですけど」
奥村「それはもちろんそうでしょう。間取り図を見てください。キッチンの横にデスクを作りました」
――「キッチンの横……なんだか落ち着かないかも……。こう、勉強中のテキストとか辞書を置いて、パソコンや手芸にしたって道具や資料をきちんと収納できて。妻だって書斎は欲しいと思うんですが……」
奥村「ちゃんと集中できる工夫はしてますよ。こちらの写真を見てください」

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↑キッチンから見た主婦のデスクスペース。書棚も設えた本格的な作り。
視界は庭に向かって広がっているので、個室感がある。


――「なるほど、キッチンやダイニングは視界に入りませんね。囲われているから個室感があります」
奥村「そして、目の前には窓を設けました。これがポイントです。個室感がありながら、開放感があるでしょう。しかも庭を見ているので、窓の外にグリーンを植えればかなり良いスペースだと思いますよ」
――「この本棚もこの写真では飾り棚みたいになってますけど、もう少し広めの板を使うとか、本棚らしく横板も張るとかすればたくさん収納できそう」

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↑妻のデスクスペース左の壁部分。

奥村「そうですね。天井まで使えばなかなか使える容量になりますよ」
――「そういえば、収納スペースが間取り図にも写真にも、これといって見当たらないのですけど。キッチンキャビネットぐらいで」
奥村「収納はですね、収納する物の使う場所の近くに作るというのが、基本的な考えです」
(ワダ)

……次回へ続きます


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02/26 11:00 | 奥村一生の空想空間 | CM:0
ふたりのためのリビング〈3〉
働き系とくつろぎ系――。
違う行為をする二人が同じ空間で過ごすには、
約3.3mの距離が必要という調査結果が出ました。
それをより有効に生かし、心豊かな空間にするのが、間取り。
奥村さんは間取りの好みにも男性と女性の差があると言います。


家の中でも行動特性?「こもりたい夫、見通したい妻」

――「間取りの取り方にも男性と女性で好みの差があるとは……言われてみればなるほど、納得できます」
奥村「間取りがというより動線計画――動き方です。基本は、夫の居場所が妻の家事動線の外にあることですね」
――「確かに、リビングに置いたキャビネットに、食卓まわりのモノを収納すると、食事のたびに忙しいですね」
奥村「この間取り図を見て下さい。赤い人物が妻でキッチンにいます。この赤い点線が家事動線です」

(↓クリックで拡大します)

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敷地183平方m(55.4坪)、
1階面積64.55平方m(19.5坪)2階建て建物延面積109.86平方m(33.2坪)


奥村「キッチンを中心に、洗濯などの水廻り、勝手口、ダイニング、2階への階段、玄関ホール、和室へダイレクトに行けます。リビングにいる夫には全く影響ないでしょう」
――「このリビング、別室のように仕切られてますね」
奥村「そうです。でも部屋じゃない。ソファとキャビネットで仕切ってるだけなので、立てば目線から上は開いています。物音や気配は十分にわかるんです」

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↑ダイニングスペースの方からリビングを見た様子。
画面中央のテレビキャビネットが間仕切りになって、その向こうがリビングスペース。


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↑リビングの入り口から奥をみた様子。
左側がキッチン&ダイニングスペースと隔てるキャビネット。


――「ふ〜ん、なるほど〜、このリビングのソファに座っているとお互い視界に入らない。思いっきりテレビに集中できますね」
奥村「そうです、男性の居場所を考えるとき、〈こもり感〉は大事なんですよ。男性って概してこもれる場所が好きな傾向にあるもんで……」
――「子ども時代の秘密基地に端を発しているんじゃないでしょうか(笑)押し入れや物置きの一角に隠れ場所を作ったり。大人になっても書斎的スペースをわざわざ屋根裏やロフトに設けたりする方、いますよね。確かに、こもると集中できるから落ち着くのでしょう。けど女性は、主婦は、家でこもっていられない。すべきことがたくさんあります」
奥村「ですので反対に女性にとって、間取りに大事なのは〈見通し感〉です」
――「見通し……そうですね!料理をするからといって、キッチンにこもりっぱなしじゃないですし。テーブルを整えながら、洗濯をしながら、ときにはお客さんのお相手をしながら、と、多分多くの女性は家事をするとき、絶えず別のコトにいつでもかかれる心構えが習い性になっていると思いますね。だから家中の様子を把握しておきたい」
奥村「家事は作業ですからね。その動線を妨げるものがあるととても効率が悪いわけで。動きやすいということは、見通しもいいということなんです」
――「作業している者の動きを妨げないためにも、くつろいでる人はリビングにこもっていてもらう……。けれど、この間取りは本当に別室にこもるんじゃないところがポイントですね。こもるのではなく、こもる感覚」
奥村「そうです。それぞれが自分の作業に集中しつつ、お互いの気配が感じられるようにと」
(ワダ)

……次回へ続きます


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02/19 11:00 | 奥村一生の空想空間 | CM:0
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